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KenConsulting Blog

KenConsultingの本多謙が政治/経済記事を独自の視点で評論します

NTT、周回遅れの再編

ITサービスと通信回線サービスの両立は無理

NTTがITサービスの新統括会社を作るというニュースが日経新聞2018年8月5日の朝刊に載った。見出しは「NTT、周回遅れの再編」「ITサービスの統括新会社 データ活用、波乗れず 」とかなり手厳しい。 筆者は1980年ころからNTTとは付き合いがあり、特に1987年から1999年までNTTに電話用の局用電子交換機を販売したり、NTTとグループ・ウエアを使った新規事業を立ち上げたり、NTTの新規事業検討の委員会に入ったりした。NTTが電話電報を提供する公営企業からITサービスを提供する私営企業になるまでの変遷を見て来たので、今回の組織再編には若干の想いがある。以下、雑感を述べたい。

戦後の労働争議でNTTは国鉄(現JR)並みに紛糾した。その収拾の方策として「人事の声は天の声」という方針が残った。これは、社員は人事部が発令する異動は神の声として一切異議をとなえず従う、というもので、こうでもしなければ熾烈な労働争議が収まらなかったのだろう。だから、NTTの社員は人事部の異動通知があればそれが自分の希望と違っていても、自分に能力が無いと思っても一言も文句を言わずに従った。何故なら、NTTの社員であり続けることが最優先だったからだ。

NTT(日本電信電話)はKDD(国際電信電話)と違って日本国内の通信を市場としてきたので非常に地域密着で受け身な体質だ。市場は法律で確保されているし、日本全国津々浦々の家まで電話線を引いて電話システムを維持管理するのだから当然だ。だから、NTTにとって計画通り日本国内に電話設備を設置して維持管理するが最重要であり、営業といっても通信回線(土管)を売るだけだった。自然、社員の発想も技能もその方向に特化してゆく。

NorhternTelecom(Nortel Networks)に勤めていた1990年代に「電話交換機もコンピュータも同じ技術を使っているのに市場とメーカがはっきり分かれているのはどうしてか?という議論を社内でしたことがある。市場の環境が違うからだ、という結論になった。通信事業者はネットの構築、保守、運営が主でビジネスサイクルが10年単位だったのに対してコンピュータ(メイン・フレーム)はどんなアプリケーションを使うとどんなメリットがあるかを顧客に訴え続ける必要があり、3年程度のリースでどんどん高機能の機種に切り替えるビジネスモデルだった。 事実、当時IBMは通信事業に興味を持ち構内交換機メーカを買収したりしたが失敗していた。

ネット全体がデジタル化し、インターネットが普及して来て、NTTもこの変化に対応しようとした。世界の主要通信議場者を網羅するシームレスなメッセージングサービスを提供しようとするIBMのビジネスに筆者が従事したのはそのころだった。NTTはロータス・ノーツのホスティングやネットサービスを新規事業として立ち上げようとした。NTT-ME社長からノーツを社員に教えてやってくれと頼まれてそれなりの努力をしたが、「うちの社員は勉強と試験は得意なんだが、、、」というNTT-ME社長の一言を覚えている。頭でわかっていても、IT企業のように顧客に積極攻勢をかけるという姿勢はなかなか身に付かないものだった。

NTTとの新規事業の一応の成功を見てKDDが似たことをやろうとしたのでそのお世話をした。KDDはロータスのコンサルの描いたシナリオ通りに営業し、推奨された通りのセリフを訪問先でしゃべったのだが、IT企業がしゃべる程の迫力が自分のセリフには無いことに気付いた。某通信会社の幹部に新規インターネットサービスを提案しても、土管販売のマインドで話しが通じなかったこともある。IT企業への変身は容易なことではないのだ。

NTTドコモはiモードでモバイル通信事業の未来の姿を世界に誇示し、積極的に海外展開し、同時期にNTT Comは米国のべリオを買収したが、結局2001年度に1兆4千億円の減損処理をすることになった。この時期、筆者はKDD関係者から「NTTの海外展開は怖くない。何より人が育っていない。KDDは長年培った人脈や海外資産がある。」と聞いたことがある。NTT社員なら一度も海外勤務の経験が無くても、人事異動で行けと言われればどんな外国にも赴任しただろう。だが、どんなに優秀でも、たとえ水杯を交わして赴任しても人がいちどきにできることには限度があるのだ。

この失敗の後NTTは海外展開に慎重だったが、その間にIT産業ではGoogle, Amazon, Facebookなどが世界中にサービスを展開する一方、日本は楽天などが国内展開するに留まり、米国の趨勢から大きく遅れることになった。1999年という早い時期に開始したNTTのポータルサイトgooは日本国内でくすぶっているようだ。インターネットサービスは世界展開しないと負けてしまう時代になったのに、残念なことだ。

どうしてこうなったかを考えると、本稿で指摘した、NTTの国内通信事業者としての体質に行き着く。NTTの指導者たちは早くから問題点に気付いて対策を打ってきたが、NTTという1つの組織に通信事業とITサービスという全く性質の異なる事業を入れるのは無理がある。通信事業のビジネスサイクルは10年~20年であり、ITサービスのサイクルは2~3年で、物によっては数か月だ。

逆の意味での典型的な例がある。IBMは通信事業者専用のクラスタ型ノーツサーバを半年後に一般企業に販売開始し、筆者は面目を失ったことがある。どうしてそんな事をしたんだ?と問い詰めると、「半年も待ったんだ」との返事が来た。IBMのIT(ロータス)の経営陣は通信事業のビジネスモデルを理解できなかったのでIBMの通信事業者へのビジネスは成功しなかった。。

今回の組織編制ではNTTはITサービスの統括新会社を作るそうだ。だが、その組織再編が「人事部の神の声」を使った従来通りのやり方で行われるのであれば不安が残る。むしろ、ベゾスの様な者に全てを任せたらどうだろう。その者に人、モノ、技術、資金、人の採用全てをサポートすれば良い。アマゾンは1995年設立以来長年赤字を続けたが投資家たちは忍耐強く彼をサポートし続け今日のアマゾンを作った。ベゾス1、ベゾス2、、、間で競争させ、彼らを忍耐強くサポートし、生き残った者を残せばよい。

他方、通信回線サービスを世界に展開するビジネスモデルもあり得る。世界各国の通信回線の運営を日本から集中して行うのだ。これは日本の安全保障につながるので、長期的視点で日本政府は推進すべきだと思うのだが、これについては別の機会に述べたい。

資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180805&ng=DGKKZO33820080U8A800C1EA5000 

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揺らぐ資本主義、経済学をどう生かすか

何か頼りない日本の経済学者たち

気鋭の経済学者4人が「揺らぐ資本主義、経済学をどう生かすか」についての議論が2018年8月6日の日経新聞に載っている。これは日本経済新聞の「経済教室」欄が始まって70年になるのを記念したものだ。筆者は高校生の時から50年以上日経新聞を購読し、「経済教室」も良く読んできたのでこの議論に興味を持った。以下感想を述べたい。なお、出席者は慶応義塾大学の小林慶一郎教授、慶応義塾大学の鶴光太郎教授、東京大学の柳川範之教授、京都大学の若林直樹教授だ。

もとより、経済学は自然科学の大成功に触発されてその手法を経済に応用して始まったのだが、自然科学の様に実験室で同一の条件で実験を繰り返し、その結果を統計的優位性で評価するという訳にはゆかない。様々なモデルを作ってもそれを実社会の経済現象にどこまで適用できるかは条件付きだ。

だがしかし、日本の経済学者は戦後、傾斜生産方式という政策を掲げ、それを政府が実行して日本を再興させたという実績を持つ。だから、柳川氏が「中長期的な経済の方向性を示すという要請に、今の経済学は応えられていない。政治を含めた大きな仕組みを論じるモデルがないことが経済学の限界といえる。」と言うのはいささか不満だ。政治には人間の情念とか敵国からの工作活動とかが入り込むから、従来のモデリングの方法論では難しいかも知れないが、AIを組み込んだら少しは何とかなるかも知れない。

鶴氏 「(中略)日本はバブル崩壊からデフレや少子高齢化まで世界に共通する課題を先取りして経験している。海外の経済学者はそれらに応えてくれないので、日本の学者が取り組まないといけない。」には期待したい。このモデル化に成功すれば日本のコンサルタント会社が世界各国の政府や投資機関に高額のコンサルを提供できる。「『豊かになる前に老いてしまう』と悩んでいるのは中国だけではない。

鶴氏 「正社員の終身雇用を土台とする日本の雇用システムは維持できなくなった。(中略)『同一労働同一賃金』は方向性としては正しいが、40%近くまで高まった非正規の比率を20%程度に下げないと雇用システムは安定しないだろう。」については少々注文がある。「同一労働同一賃金」は社会主義の思想であって資本主義の思想ではない。効率的な経営をすれば同一の労働をしてもより高い賃金が得られるのが資本主義だ。利潤を適正に配分するなら問題ない。「非正規雇用の比率を20%まで下げないと雇用システムは安定しない」というのも社会主義の考えだ。この考えでは日本は世界の変化に乗り遅れる。企業は、無能な者はすぐ解雇して、市場や技術の変化に対応すべくそれなりの能力を持った者を直ぐ雇い入れなければ潰れてしまう。米国企業はこれが出来たから企業のビジネスモデルを素早く変革し世界をリードして来たのだ。例えばDELLを見よ。DELLはPCの事業モデルが市場に合わなくなったら株式を非公開にしてビジネスモデルを組み替え、求める能力に相応しい人を採用して新規事業を起こし、再び株式を公開した。日本PCメーカにこんな大胆な変身ができた企業は無い。

小林氏 「(中略)プログラミングなどのITスキルを教育の初期段階から幅広く導入することで、普通の人が技術に対応できるようにすべきだ。」これは今さらこんな事を言うか、だ。せめて20年前にこれを言って欲しかった。

小林氏 「自由な市場経済が民主主義を脅かす事態も生じている。資本主義の成果でもあるITを悪用すれば、選挙結果も操作できる。中国のように民主主義を制限したほうが、資本主義が強くなるという現象も起きている。」これは明らかな認識間違い。白髪三千丈式の中国からの統計数字しか見ていないからこんな事を言うのだろう。株式を売ろうとしたら警察がやって来て逮捕されるような国が資本主義国でないのは明らかだ。中国は資本主義の仕組みは採り入れたが人々の思考回路は清朝の時代と変わらない。だから中国で資本主義が強くなっているというのは間違い。それに、ITは資本主義の成果ではない。戦争の成果だ。ITが無くても民主主義は脅かされる。ナチス・ドイツが正規の民主主義の手続きの結果誕生したことを思い出すべきだ。

この様な認識間違いをするから司会者の「米トランプ政権が保護貿易に走るなど、資本主義が揺さぶられています。」などという頓珍漢な質問になる。揺さぶられているのは資本主義ではなく、グローバリズムであり、トランプのせいで不安になっているのは戦後グローバリズムを推進し世界経済の枠組みを作って来たネオコンなどのグローバリストたちであり、グローバリストたちのけいぁ医学を信奉して来た日本のエリートたちなのだ。

資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180806&c=DM1&ng=DGKKZO3376912003082018M11200

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ゴールドマンの資本主義

日本は戦後、米国が放棄した城を占領しただけなのだ。

ウォール街の盟主であるゴールドマン・サックスのCEOロイド・ブランクファイン氏が今年9月末に退任しデービッド・ソロモン氏に替わる。2006年の就任以来の「ブランクファイン氏の12年間」を振り返り、日経新聞社コメンテーターの梶原誠氏が「ゴールドマンの資本主義」という題で辛口の評論を2018年8月3日のDeep Insight欄に載せている。

梶原氏はこの「12年間」が「金融が幅をきかせるようになった米国型の資本主義が、社会の反撃を受けて持続不能になった時代だ」と総括する。確かに、「企業が金融の束縛を離れて『自己拡大』する」1950年代の「理想郷」は既に無く、「格差を生んだエゴ丸出しな経営者への怒りは後に噴出し、トランプ氏が16年の大統領選を制する底流をなした」。だが、金融が産業の血液であることには変わりなく、ゴールドマンの新CEOが「担う役割は、経済の持続的な成長を促す金融と経済の関係を再構築することにほかならない。」と言う。

こうした認識は梶原氏だけのものではない。トランプ大統領は海外に移転した製造業を国内に取り戻そうとし、中国などと関税戦争を仕掛けている。その帰趨は先端技術を誰が持っているかで決まる。収奪を旨とする馬賊文化の中国は日欧米の技術にただ乗りしているだけなので、中国に勝ち目は無い。

だが、この戦争は米国にとって何年もかかるだろう。なぜなら、一旦失った技術を取り戻すには教育システムを刷新し、就労者を再教育しなければならないからだ。だが米国はこれを達成するだろう。それは、「ビジネススクールの就職先は将来の産業構造を占う鏡だが、マサチューセッツ工科大(MIT)の場合、10年で金融と主従が入れ替わった」という変化から分かる。

「危機の傷痕が残る今」、かつてGMのCEOが言った様に「「ゴールドマンにとっていいことは米国にもいい」と新CEOが言えるかどうか、「多くの金融機関は」「資本主義の黒子として、米国民に報いることができるだろうか」と梶原氏は評論を終えている。

米国の金融の時代は終わったと認めるべきだろう。MITのビジネススクール卒業生の30%がITに就職するのに対して金融は10%に過ぎないことは、米国が金融の限界と弊害を認め、富と力の源泉をITに置き換えようとしている証拠だ。

だが、この様な傾向は今に始まったことではない。かつて日本が自動車輸出で米国と揉めていた1980年代、米国自動車メーカの経営者が「最近は優秀な卒業生は皆ITに行って自動車には来ない」と劣勢を嘆いていた。日本の自動車産業の隆盛は米国産業の主体が自動車産業からITに移行した為であり、日本の家電産業の隆盛も同様だ。繊維も鉄鋼もそうだ。日本は米国が放棄した城を占領しただけなのだ。であれば、日本のIT産業の現状も理解できる。GoogleやAmazonなどが日本を含む世界を席巻していて日本のIT産業の劣勢は明らかだ。

だが、自動車がIT技術の塊でありそれがネットの端末になるという変革が進行している今、自動車を含むIT産業で日本はどうすべきだろうか?トランプが中国に関税戦争を仕掛けたのは中国が5GなどのハイテクIT技術で米国を凌駕し米国の軍事産業の優位性を脅かそうとしたからでもある。米国が明け渡した産業と市場を捨てず、米国とうまく折り合いをつけてIT産業構造の核となる部分を占め、相互依存関係を深める様にすべきだろう。

米国国債の最大の所有者であり、米国が必要とする技術を持つ日本は、実は米国にとって中国以上に恐るべき相手になる可能性を秘めていることを忘れてはなるまい。
ゴールドマンの資本主義 図20180803

資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180803&ng=DGKKZO33726800S8A800C1TCR000

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米民主、台頭する新世代

世界で最も成功した社会主義国「日本」を視よ!

「米民主、台頭する新世代」と題するコラムが日経新聞2018年8月5日のFINANCIAL TIMES欄で紹介されている。著者はグローバル・ビジネス・コラムニスト ラナ・フォルーハー氏だ。副題が「『労働者』重視、経済界は注目を」で、コラム子はこれを民主党の原点回帰と呼び、それを求めている。これはクリントン+オバマ時代の民主党の主張とは確かに違う。この変化の例として「民主社会主義者」と呼ばれるオカシオコルテス氏(28歳)が6月の民主党予備選挙でペロシ院内総務を継ぐ立場にいる対抗馬を破ったことを挙げている。コルテス氏は「政治に今ほどお金が流れ込んでいることが、私たちの社会が崩壊するかどうかの危機をまねいている」と考えている。彼女は「私たちの問題は右派か左派ではない。最富裕層と貧困層の問題だ」、「民主党は、働く人々のために大望を掲げることもなく、力を尽くして戦ってもこなかった」、「この結果、その怒りが大統領選で共和党(トランプ氏)に投票する流れをつくってしまった」と述べている。

この様な主張の背景は「ゴールドマンの資本主義」と題するゴールドマン・サックスの最高経営責任者ロイド・ブランクファイン氏の退任に関する記事(日経新聞2018年8月3日のDeep Insight欄、日経新聞コメンテーターの梶原誠氏による)を読むと良くわかる。梶原氏はブランクファイン氏の「12年間はこう総括できる。金融が幅をきかせるようになった米国型の資本主義が、社会の反撃を受けて持続不能になった時代だと。」

コラム子はこうした民主社会主義者に対する不安を企業側が抱くだろうことを見越し、彼らは安全だと述べている。即ち「彼らは、米国民を消費者として見るのではなく一般市民として気に掛け、全国民に医療保険と教育と生活可能な所得を保証する国を目指す民主党に立ち戻ることを求めている。これは左派にさえ過激に思えるが、それは米国だからだ。欧州ならオカシオコルテス氏は、多くの人が市民の基本的権利と考えることを要求する、どこにでもいる社会民主主義者にすぎない。」と述べている。彼女は彼らの主張が米国の医療保険や教育システムの質を高め、米国の国力増進に有効だとも述べている。

むしろ筆者はこのコラム子に、ゴルバチョフが「世界で最も成功した社会主義国」と評した日本を米国の経済界は見本にすべきだ、と米国の経済界に主張することを薦めたい。国民皆保険も高度な教育システムも、平等で安全な社会も、日本がとっくに実現しているものだからだ。

それにしても「米国で今、創出される雇用の約65%は高卒より上の学位が必要だ。だが、米国の学生でそれだけの資格を得る者は半分しかいない。」というのは驚きだ。知的で豊かな米国市民の影は既に無い。これではトランプが移民を制限し海外に流出した工場を本国に戻してもまともな製造ができる者を育てるのに何年もかかるではないか。だが、米国の知的資産を狡猾に利用して米国を凌駕しようとする中国を今の内に潰しておかなければ米国の覇権が危ないとする考えはトランプだけでなく米国議会全体のものになっている。

思うに、米国の社会システムは優れた労働力を奴隷で賄うという古代ローマ帝国のものを現代風に焼き直したものだ。頭脳優秀な者を世界中からの移民でまかなえば良いという考え方は、かって筆者が勤務した米国AT&Tに並ぶNortel Networks社でも見られた。Bell Northern Researchやマーケティング部門では中国や中東やインド等からの頭脳明晰な移民が活躍していた。この古代ギリシャ・ローマ時代以来のグローバリズムを否定してナショナリズムに基づく国家の繁栄モデルに不安を覚えるなら、その答えは既に日本にある。

資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180802&ng=DGKKZO33667380R00C18A8TCR000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180803&ng=DGKKZO33726800S8A800C1TCR000

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グローバル化の将来は

ローカリズム(ナショナリズム)も悪くない

「グローバル化の将来は」どうなるか、をリチャード・ボールドウィン氏が2018年6月5日の日経新聞「時論」欄で論じている。同氏はジュネーブ国際高等問題研究所教授で、マサチューセッツ工科大の経済学博士、ブッシュ政権の米大統領経済諮問委員会シニアエコノミスト、英シンクタンクCEPR所長兼務、という経済学の世界的権威なのだが、「時論」欄を読む限り、日本を良く知らないで語っている感じがする。

以下、気になる点を述べる。

そもそも、スイスは欧州を影で支配している勢力が欧州という国際環境の問題を処理する為に作った人工国家で、国際決済銀行の本部もスイスにあるくらいだから、スイスの知的機関に勤めている者の言うことはこの背景を頭に置いて聞く必要がある。この勢力が世界でグローバリズムを推進して来た黒幕だからだ。国際自由貿易環境を最も狡猾に利用して世界に覇権を広めようとしている中国の習近平が最近のダボス会議でトランプに対抗して中国が世界の自由貿易の守護者だなんているビックリな演説も、場所がスイスであることを考えると理解できる。中共はこの黒幕の支援を受けていたからだ。

コラム氏は「グローバル化は(価格差を利用して稼ぐ)裁定取引だ。第1次はモノ、第2次は技術ノウハウ、第3次は労働サービスの裁定取引」であり、「要するに在宅勤務が国際化するということだ。」と言う。彼の言う第3次グローバル化はグローバルなインターネット網の存在が前提となっている。彼は、例えば、ウエブサイトの編集は人件費の高いロンドンよりバンコクでやってもらう事が増える、と言っている。だがこれは、バンコクの労働者を低賃金でこき使う、という19世紀的論理の現代版に過ぎないのではないか?

それに、このグローバル発想は地方の文化を破壊する。例えば、数十年前、米国企業が顧客サポートなどのコールセンターを人件費の安いインドに大量に開いたことがある。インドの方が人件費が安く、インド人が英語を話せ、リアルタイムの会話が米印度間の高速国際通信網で可能だったからだ。インド人のコールセンターオペレータたちは米国の一般消費者とじかに会話することが多かったが、通常の会話以外に雑談することがあり、若い女性オペレータなどは米国人の同性愛者などに誘惑されたりすることがあり、自分の育った価値観との違いに深刻な鬱に陥った。地域毎に異なる価値観は多様性の基であり、壊してはならない。世界中をアラーやイエス・キリストや共産主義の教え一色に染めようとして世界は凄惨な経験をしてきた。

コラム子は「反グローバル化の動きは誇張されている。」「米国の製造業は25年以上にわたり自動化とグローバル化に苦しんできた。米政府は彼らがそれに順応するのを支える政策をとってこなかった。所得格差が拡大し、とくに低学歴の男性に問題が集中した。」とトランプが大統領に選ばれた米国の惨状を認め、従来の米国の政策を非難している。問題は、「低学歴の男性」たちにとって新たな技能を身に付け新しい職種に就くことがどれだけ大変か、ということだ。特に、中年以降の者にとってこの変化は受け入れ難い。家族を養ってきた米国の炭鉱労働者、鉄鋼労働者などが突然クビになり、自尊心を傷付けられ、酒や麻薬に逃れた挙句自殺しまた犯罪に走る悲劇にどう対処するのか?今回トランプに投票したのはこういう層なのだ。この新しい技能を身に付けるのは「高学歴の男性」にとっても過酷だ。筆者がかつて勤務していた米国スーパーコンピュータ会社の優秀な技術者は後に「俺は鯨漁船の銛打ちみたいなもんだ。」と言って碁や将棋を打つだけの毎日を過ごす様になった。技術者の頭脳は得意な技術に特化してしまうと他に応用が効かなくなってしまうのだ。人間というのは意外と弱いものだ。社会の変化はその弱さに対し優しくなければならない。そしてそれは穏健なナショナリズムの基で可能だ。

コラム子は「政府の役割は、(グローバル化)に敗れた人々が職を移動できるように(様々な)支援をするといったことだ。」と言っている。彼の言う政府の役割は、日本では主に政府ではなく企業が提供している。例えば、戦後傾斜生産方式により産業の主体が石炭から石油に移った時、炭鉱夫たちが大規模な労働争議を起こしたが、炭鉱夫たちの再配置を円滑に行ったのは三井三池など財閥の人事部だった。コラム子は日本の実情を知らない。

コラム子は第1次グローバル化により「(日米欧の)先進国がいち早く工業化し他の国々が停滞するgreat divergenceが起こり」、「1990年ごろから」「新興国が先進国よりも速い成長をとげる」「great convergence」が始まったと言う。日本人である筆者にしてみれば、これは日本が大東亜戦争で東アジアの欧米の植民地を解放し現地住民を教育したからだ、と言いたい。Great convergenceは日本の成果なのだ。

コラム子は「統計的にみても、言語が共通な国との間の貿易は、そうでない国の間のおよそ2倍だ。言語障壁がなくなると貿易は活発になる」と言い、自動翻訳の発達で日本人の英語能力の壁を楽観している。だが、Googleの自動翻訳を見ても、その品質は実務にそのまま使えるとは言い難く、自動翻訳技術の発展の歴史をみても、その進展はコラム子が言うほど楽観はできない。

徳川幕府の施政下で人口百万の江戸の50万の町人を取り締まる正規の警察官がたった24人しかいなかったこと、江戸時代に欧州のルネサンスに匹敵する学術の発展があったことを顧みれば、江戸時代の日本は一種の理想郷だったことが分かる。この、日本列島内で自給自足していた平和で安定した幸福な人々を戦争に駆り立てたのは、土着民を搾取するグローバリズムというビジネスモデルを世界で展開していた白人(アーリア人)だった。そして彼らの世界征服(グローバリズム)を可能にしたのは兵器や輸送手段などの科学技術だった。コラム子の主張は現代の日本用に多少表現を変えているが本質的にこの時代と変っていない。

勿論、日本が再度鎖国(強い制限貿易)状態に戻ることはあり得ない。しかし、鎖国(強いローカリズム・ナショナリズム)状態で繁栄し平和な世界を作っていたことは、日本人がその方法論を知っていることの証拠ではないか?

日経新聞編集委員の藤井彰夫氏は本コラムの「聞き手から」欄で「新しいグローバル化に対応するには、より柔軟な労働市場に向けた改革は急務だ。改革が遅れれば遅れるほど、日本全体が負け組になってしまうリスクも高まるのではないだろうか。」と述べ、グローバリストの主張に適応しないと時流に乗り遅れるという恐れを隠さない。これがグローバリズムは善だというパラダイムで育った日本のエリートの典型的な反応だろう。

だが、折しも米国のトランプ大統領は行き過ぎたグローバリズムで荒廃した米国の庶民を救うために米国内のそして世界中のグローバリストと戦い、グローバリストたちが構築して来た世界の仕組みを再構築しようとしている。この傾向は米国以外も類似している。時代はグローバリズムから新しいナショナリズムに移っている。日本の、そして世界のエリート達は新しいナショナリズムの時代がどういうものか理解できず不安に陥っている様に見える。日本人は、江戸時代の経験を基に新しいナショナリズムの世界像を描くことができるとは思わないか?


資料;https://r.nikkei.com/article/DGXKZO31338680U8A600C1TCR000

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トランプ氏、貿易戦争招く

日本は状況を冷静に分析し、有利に立ち回る

「トランプ氏、貿易戦争招く」というコラムが日経新聞2018年7月12日のFINANCIAL TIMES欄に載った。著者は同欄でおなじみのFinancial Times Chief Economic Commentatorの英国人 Martin Wolf氏だ。Wolf氏のヒステリックな反トランプぶりにはそろそろ慣れが来ていて、一流経済紙に載るコメントテータなんてこんな程度なのかという思いがしてくる。また、かなり中国に洗脳されているなというのが文章の端々から感じられる。このコラムはこんな視線で読むと楽しめる。

先ず「今、世界一の大国を率いているのは危険な無学者だ。」とトランプをこき下ろしている。トランプは欧州流の洗練された身のこなしや英国流の皮肉やオバマの様な学歴は無いが、実業の世界で勝ち抜いてきた知恵者であり、アメリカ人のカウボーイ好みに合ったイケメンなのだ。それに有能なシンクタンクが支援している。「トランプ氏やトランプ政権が何を望んでいるのか誰にも分からないため、交渉するのが極めて難しい。」というのも間違い。トランプは大統領選挙の公約を粛々と実行しているだけだ。さすがに、ワシントンは敵ばかりなので順調な人事ばかりとは言えないし、余計なスパイを大統領府に入れる愚は避けたいだろう。

コラム子はトランプが貿易戦争を招くことを恐れ、非難し、戦争の帰趨に対して悲観的であり、その論旨は中国を代弁しているのではないかと思わせる。そもそも、トランプが中国に貿易戦争を仕掛けたのは中国を今のうちに叩いて中国を米国に替わる世界の覇権国ではなく、米国の大人しい市場にしようとしたからだ。

米国はニクソン以来そのつもりで中国に技術と資本を与えたが、習近平の中国はAIIBや一帯一路で米国を凌ぐ世界の覇権国になろうとする姿勢を露わにした。一方民主党政権は米国を売って私腹を肥やした。米国の指導者たちは、これは失敗したと思ってトランプにその是正を期待しているだけなのだ。勿論、米国との貿易戦争は中国にとって不利であり、勝ち目が無く、中国は条件闘争にせざるを得ないのだが、その為には国際世論を味方につけなければならない。そこでウルフ氏のような著名なコメンテータが一流経済新聞の紙面をにぎわすことになるのだろう。

コラム子は言う。「米政権が貿易に関して発動した措置や発表内容は」「トランプ政権がいかに無能かをさらけ出してもいる。」なぜなら追加関税の対象は「米国の年間輸入総額の約3分の1に相当する。そのため米国の動きは早くも報復の応酬を招きつつある」のであり、これはWTOルール違反であり、「中国に貿易赤字削減を求めるのはばかげているし、次の産業育成策阻止は交渉できる類いのものではない。最後の強制的技術移転阻止は道理にかなった要求だが、達成は難しい。」と中国を擁護している。中国が薄利の加工&組立てビジネスから利幅の大きいハイテクビジネスに移行しようとしているのは明白だし、その政策が実現すれば米国は防衛産業での主導権を失い、世界に展開している米国軍の価値は激減し、中国と戦争すれば敗退を重ねることになるだろう。そうなった場合英国も米国も日本もチベットの様になってしまうのだが、コラム子はそれを容認するのだろうか?チベットでは絶望した仏僧たちが焼身自殺を続けているというのに。

コラム子は「トランプ氏が実際にしているのは、2歳児のように明確な目的もないまま既存の仕組みを壊しているだけだ。中国と関係を修正したければ、(中略)各国と力強く連携し、中国に立ち向かったはずだ。」とトランプを非難しているが、米国が構築した世界貿易の「既存の仕組み」をもっとも 狡猾に利用して米国を恫喝し始めたのは中国であり、その他の「各国」は程度の差こそあれ中国と同様狡猾に米国を利用して来たのだ。だから、「各国と力強く連携」するなんて無意味だし、トランプが「明確な目的もないまま既存の仕組みを壊して」いると言うのは間違いだ。それは米国の想定内なのだと理解すべきだろう。

コラム子の、中国が保護主義により米国市場から「締め出されると、その輸出先が他国へと移っていくからだ。例えば中国から米国に輸出されていたモノが欧州連合(EU)市場に出回るようになると、今度はEUが自国製品を輸入品から守る必要を感じるようになるかもしれない。」との懸念は、彼が中国の立場に立っているなら全く納得できる。中国の製品が世界から締め出されるからだ。それは米国が狙っていたことではないのか?

中国が生き延びる道はかって日本の自動車メーカが米国でしたように自国の工場を米国に移し、米国人を雇って米国のGNPを増やすことだろう。だが、それが出来る企業が中国にどれ程あるのか?例えばアップルは中国の工場を閉鎖して米国に工場を移せばよく、中国はそれに対して儚い抵抗をするしかないだろう。ZTEは米国や日本から部品を買って組立てているだけだ。

コラム子はトランプへの対応として「報復だけがトランプ氏の路線を変えることができるかもしれない。」と言い、「筆者なら報復する。それは報復に効果があるからではなく、報復しないと弱く見えてしまうからだ。」と述べている。これは米国に対する中国のリアクションそのものだ。コラム子の頭はかなり中国化されている様に見える。

コラム子は「高所得国が打てる最も大胆な策は」「トランプ氏が提案する関税ゼロの貿易をすることだ。」「そんな世界もあるのかもしれない。」と述べている。コラム子がどの国をこの「高所得国」として想定しているのかは分からないが、日本がそれに当たることは間違い無い。日本は既にTPPを発足させ、EUとの関税撤廃の条約も締結した。コラム子は「そんな世界もあるのかもしれない。」と言うが日本は既にそんな国になっているのだ。

だが、日本は米国と対立している訳ではない。米国が「中国の対米貿易黒字の削減」、「中国のハイテク産業育成策『中国製造2025』の阻止、「強制的な技術移転の阻止」を達成すればそれは日本の利益にもなる。従来通り米国の良きパートナーとしての立場を堅持していれば良い。

更に、蒋介石夫人やノーベル賞作家パール・バック以来米国には中国に対する美しい幻想が定着している様だ。日本も古代中国に対して似たようなものだが、中世以来の中国人像のおぞましさについて日本人はより深く認識しそれを世界に広めなければなるまい。


資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180712&ng=DGKKZO32866400R10C18A7TCR000 

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欧州分断するポピュリズム

ポピュリズム非難と民主主義擁護の矛盾

「欧州分断するポピュリズム」と題するコラムを日経新聞の上級論説委員が2018年5月31日の中外時評欄に載せている。内容は欧米のリベラルな論調を後追いしたもので、欧州でポピュリズム政権が拡大していることを憂いているものだ。即ち、ポピュリズム政権が「司法やメディアを抑えつけ、EUの決めた難民の受け入れ枠は拒否した。掲げるのは、法の支配や寛容さを重んじるEUのリベラルな価値観と一線を画す『非リベラルな民主主義』だ。」とリベラルの退潮を嘆き、「英国がEUを去ったあとも、ドイツとフランスがリベラルなEUの価値を守り、ポピュリズムの拡大やユーロ危機の再発を防ぐ、(中略)こんな期待にも、再び赤信号がともり始めたようだ。」とコラムを閉じている。

このコラム子が欧州発のリベラリズムを擁護しようとしているのならその論調に含まれている矛盾に気付かなくてはならない。英国人が「どうしてEUから脱退するのか?」と日本人に問われたとき「日本の国内政策が大陸の上海(だったかな?)で決定されたら嫌だろ?英国人はブリュッセルの官僚に自国のことを勝手に決定されるのは嫌なんだよ。」と答えたという話を聞いた時、なる程と納得した。

要するに、リベラリズムはグローバリズムと一体で、その思想をEUは実現しているのだが、それはブリュッセルの官僚たちが28加盟国のほとんどを決定し運営するシステムなのだ。この体制はソビエトを中心とする共産主義と相似形になっている、と言われたら驚くだろうが、事実だ。このシステムは加盟各国の主権を制限するから、その制限を正当化し国民を納得させる為にメディアが使われる。つまり、メディアの仕事は加盟国の国民を騙してブリュッセルのリベラリスト達の意向に納得し自分の不利益を受け入れるようにすることなのだ。移民の割り当てなど正にそうだ。各国の国民は選挙でその不利益を拒否しているのだが、リベラリスト達はそれをポピュリズムと言って非難し、民主主義の危機だと言って嘆く。これって矛盾しないか?この矛盾に気が付いたら、このコラム子は欧州のリベラリズムを英国人の様に避難するはずだ。だが、メディア側のコラム子はリベラリストに奉仕することを当然としているのかも知れない。

このコラム子は優等生の匂いがする。優等生は教えられた「正しい」ことを全て頭の中に記憶し、それを自分の知識として整理し組み替えて書いたり話したりする。自分の価値観を基に情報を篩(ふるい)にかけることはしない。このコラムがそうだ。メディアとしてリベラルな立場を当然とし、それを前提とし、その矛盾を無視して論陣を張っている様に見える。あるいは、欧米のリベラルの論調に追随していれば格好が付くというだけなのかも知れない。

欧米の正統派メディアも同様だ。彼らは正当な民主主義の手続きを経て成立したトランプ政権を貶め、なんとかして 引き摺り降ろそうとしているが圧倒的な人気のトランプに対して劣勢だ。日本のマスコミも安倍政権に対して同様だ。このコラム子の様な優等生には一度、何が自分と自分の家族と自分が属するコミュニティーにとって重要かを考えて頂きたいと思う。例えば「あなたは日本の税金の問題を上海の中国人に決めてもらいたいですか?」だ。筆者なら当然NO!だ。


資料;https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31155280Q8A530C1TCR000/  

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AIは人を幸せにするか

クラウス・シュワブ氏は日本にとって危険人物か?

世界経済フォーラム会長のクラウス・シュワブ会長との「AIは人を幸せにするか」という題のインタビューが2018年5月8日の日本経済新聞に載った。筆者はかって日本でAIソフトビジネスを立ち上げたことがあるので興味深く読んだ。シュワブ氏は「ダボス会議」を主催する、世界経済の方向性を考える上で不可欠な人だ。
インタビュー記事からシュワブ氏を探ってみたい。

スイスの大学の博士号を持つにすぎないシュワブ氏がなぜダボスというスイスの寒村に世界中の指導者を集め世界の問題を話し合うようにできたか?それはスイスが永世中立国となり多くの国際機関の本部がスイスにあるのか?という疑問につながる。世界決済銀行の本部もスイスにある。スイスはロスチャイルド家などの欧州の影の指導層が国家間の紛争を調整する場として作った人造国家なのだ。だからシュワブ氏はドイツ出身でありながらスイスに住み、一介の博士号取得者でありながらこの影の指導者層の信任を得た指導者として国際会議を主催できているのだ。国際社会という枠組みは欧州で発生しそれが全世界に拡大した。国際社会を一つの論理で統一的に把握し導こうという彼らの指向性はかつて共産主義を生み育てたが、これは失敗した。この指向性は彼の話しの節々に出てくる。シュワブ氏と世界経済フォーラムはこの様な性質の団体だということは覚えておいた方が良い。

彼はICT革命に続く第四次産業革命を提唱し、「第4次産業革命センター」を米サンフランシスコに設立し2つ目のセンターを日本に作ろうとしている。このセンターの目的は「技術に限らず社会、政治にも及ぶ」産業革命がもたらす「有難くない結果を避けられる制度、規制を分析し、世界に提案」することにある。今後日本政府や産業界は同センターからの働きかけに対応する面倒な作業に振り回されることになるだろう。そういう意味でも、このインタビュー記事はより多くの人が読むべきだ。

シュワブ氏による産業革命の区分は割とユニークで、『地球は宇宙の中心ではない』ことを知り、科学に目覚め(第1次)、『人間は生物学的進化の一部である』ことを発見し(第2次)、「我々の意思決定が意識的ではなく、無意識に大きく影響されている」ことを理解し(第3次)、人工知能によって「コンピュータの方が人類より優れたアルゴリズムを作り出すことを眼の当たりにした(第4次)という西洋人らしいものだ。彼は無意識界を深く思惟していた東洋思想には詳しくない様だ。それは「世界が共に生きていく方法。その優れた模範として孔子の教えに学ぶことが多いと考えている。」という言葉からも分かる。これは支配体制維持の為の理論だった儒教に対する買い被りか誤解だ。儒教の為に中国は停滞し西洋の攻勢により没落した。氏はむしろ徳川300年の平和と繁栄をもたらした日本の文化に学ぶべきだろう。日本の歴史家は彼に、徳川の平和が1万年以上前の縄文文化や大和朝廷が覇権を獲るまでの動乱の歴史に依ることを教えなくてはならない。彼は中国に洗脳されている匂いがする。

彼の言で見逃せないのは「プラットフォーム経済というものが確立した以上、それを作り上げた企業には競争戦略の必要性が減る。あとは立法者たちの仕事だ。プラットフォーム経済を定着させ、経済の競争力をどう保つかを考えることだ」だ。これを読んでAMAZONやGoogleやフェイスブックなどのプラットフォーム産業がなぜ世界制覇したかが分かった。シュワブ氏らの戦略に同調する投資家が、例えばAMAZONが成功するまで10数年も忍耐強く投資を続けたのだ。日本のIT指導者たちはこの戦略に気付かず、プラットフォーム経済では完全に後れを取った。中国の阿里巴巴の成功もWall Streetが支援したからだ。プラットフォームサービス上に成立したICT産業はそのサービス事業者の掌の上でしか踊ることができない。シュワブ氏らは海外のプラットフォーム事業者のビジネスが有利になる法律をこれから色々と日本政府に要求してくるに違いない。日本はそれに対抗する戦略が必要だ。

中国との経済摩擦に関して氏は「単なる貿易戦争ではなく、第4次産業革命における覇権が絡んだ攻防だろう」と言っている。これは中国を買い被り過ぎだろう。中国は本質的に詐術と体面の国だ。第3次産業革命を成立させた科学技術を外国から借りて来て製造業を興しGDPを世界第2位にしたのに酔って海外に覇権を求めたに過ぎない。中国は早まったのだ。

日経新聞の中山敦史氏は「聞き手から」の欄で、ルネサンスで「大きかったのは人間の価値判断基準が『啓示』から『観察』に移っていったことだろう」と述べ、更に「第四次産業革命を象徴する言葉とは何か。『解析』だろう。」と述べている。ビジネスでも学問でも「啓示」が大手を振っている分野がまだまだ多い。この言葉は何度も折に触れ多くの事象に適用してみるべきだろう。

資料;https://www.nikkei.com/article/DGXKZO30169230X00C18A5TCR000/

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米欧の断裂 『最悪』への覚悟

日本が想定すべきシナリオ


「米欧の断裂 『最悪』への覚悟」という題で菅野幹雄氏が日経新聞2018年6月29日のDeep Insight欄に一文を載せている。その要旨はこうだ。

トランプは自動車への輸入関税、安全保障費の負担増額、移民政策の批判の3点で欧州を揺さぶっている。これは自由貿易、多国間主義という旧来秩序を破壊することになる。この為EU大統領は「最悪のシナリオに備えなければならない」という文書を提示した。「自由主義や西洋の民主主義といった当たり前の概念が一斉に再検証の時を迎えている。米国に安全保障を依存する日本は何を負担し、地球規模の課題解決でどう貢献するのか。」「日本も欧州とともに、米国との向き合い方を見直す必要がある。」

「最悪のシナリオ」とは欧州がGDP2%の軍事費を負担すると共に、中国で製造しているドイツ車が米国で売れなくなる事態を指しているのだろう。というのは、軍事費負担に加え、ドイツは中国を利用しようとして大量の投資を行い、自動車製造工場を安価に作りそれを米国に輸出している。この車に高額の輸入関税がかかればドイツ車は米国で売れなくなり、それを製造している中国の工場への投資が回収できなくなり、ドイツ銀行は債務超過になり、EUの核であるドイツ経済が破綻し、EUが破綻し、欧州も破綻する、というシナリオが現実になる。これが本当の「最悪のシナリオ」なのだ。

複数の理念を構造化してその論理構造の周囲に概念の系を構築し、それに従って行動を決めるのがドイツの欠点だ。ナチスや難民の受け入れなんかその典型例だ。だからドイツはWW1でもWW2でも現実主義の英国に負けた。EUもそのドイツ式の為に瓦解しようとしている。

こういう頭の悪い田舎者のドイツと日本は余り親密に付き合うべきではない。WW2では軍事同盟なんかを結んで大失敗した。そもそもドイツは大東亜戦争時でも蒋介石に軍事将校や武器を提供して日本軍を苦しめた国だ。現代では、やがて自分に歯向かってくるのも理解できずに中国に虎の子の技術を教えて中国を日本の競合国にしている。ドイツ銀行の筆頭株主はいつの間にか中国系になったから、ドイツは半分中国に乗っ取られたようなものだ。

菅野氏は「日本も欧州とともに、米国との向き合い方を見直す必要がある。」とコラムを結んでいるので、筆者の考えをここで述べておこう。戦後の国際秩序が崩壊する「最悪のシナリオ」は日本にとってチャンスだ。太平洋戦争で日本に手を焼いた米国は日本を弱兵平和産業国家へと導いた。これはオバマの時代まで続き、それが為に日本は軍事力を持てず、米国、中国、韓国のATMになって来た。こうした体制の崩壊を慶賀しなければ日本人ではない。だが、日本を国際社会の中でどの様な国とするかのシナリオが日本側に無ければこの体制崩壊は日本の混乱を招くだけになるだろう。以下、3つのシナリオを挙げたい。

1. 米国に深く入り込む。富の源泉である製造業を米国は再生しようとしている。だが一旦失った製造のノウハウは容易に再現はできない。そこで日本の製造業は米国に工場を作り米国人に製造技術を身に着けさせ、なお且つ製造の核になる部分を日本に留めて米国の工場を遠隔制御する。これは自動車で進んでいるが、その他製造業全般で進める。
2. 米国政府と産業の意思決定プロセスに深く入り込む。多数の若者が米国の大学に進学し、その卒業生が策研究機関や主要企業に勤務する様誘導する。彼らは政治/産業分野で米国流の世界戦略の構築/実施の方法論を身に着けるだろう。その経験を日本で活かす。
3. 日本の経済ブロックを作る。TPP11をさらに強力に組織運営し、世界がWW2の前の様にブロック経済化しても日本の経済圏は確保する。


資料; https://r.nikkei.com/article/DGXMZO32365020Y8A620C1TCR000

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「とんでもない時代が訪れた。」は愚

日経新聞のOpinion欄にコメンテータの菅野幹雄氏が「『脱・西側』のトランプ動学」という文を載せている(2018.5.23)。

菅野氏は「とんでもない時代が訪れた。」とコラムを始めている。彼は続いて「大国の双璧をなす米中が」つばぜりあいを始めたと嘆き、「異端のリーダーによる信念、計算、そして気まぐれが、関係国の政府と民衆、国際社会を揺さぶり、金融市場を荒らし、流血と犠牲を伴う抗議行動を起こす。」と続け、「派手なディールが尻すぼみとなり、トランプ氏の高揚が一過性に終わる可能性ももちろんある。だが『歴史的な成果』で政権維持の追い風を得れば、本当に世界を根こそぎ変えてしまうかもしれない。このギャンブルは侮れない。」と結んでいる。

菅野氏の論調はCNNやNYタイムズの様な米国主流派のマスコミに共通したものであり、その意味では業界の主流派なのだが、この論調の前提になっている認識には問題がある。

先ず、トランプ氏が「気まぐれ」と言っているが、これは当たらない。彼は選挙前の公約を忠実に実行しているだけなのだ。その意味でトランプは誠実で実行力に富む。米国は好景気で、失業率は2000年以来の4.1%に下がり、なお且つトランプのカウボーイ的なやり方(動学)はガンマンが悪漢をやっつけるのにも似て大衆受けしている。

次に、トランプはTwitterで国民を誤誘導していると非難しているが、国民を嘘で誘導して来たのはマスコミだという事実がある。ベトナムやイラクへの攻撃時もマスコミが国民の正義感に訴え攻撃を正当化した。大統領選挙時、トランプへの人格攻撃が多くなされたがその多くが捏造であることが明らかになっている。マスコミはトランプの何に怒っているのか?それはTwitterなどで大統領自身が国民に直接発信することでマスコ見の既得権益構造を破壊していることに怒っているのだ。事実、日経新聞のDeep Insight程度の情報なら、手間暇を問わなければインターネットから得られる。

第3に、中国を世界の双璧をなす大国だとしていることだ。中国のGDPは世界第2位と言われているが、中国の統計は人為的で信用できないことは誰でも知っている。世界から30年は遅れているとして鄧小平が経済を開放し、米国から技術と資金を与えられて製造工業に突出して成長した中国の製造業の利益率がせいぜい2%であり米国資本の掌の上で踊っているだけのことは経済新聞のコメンテータなら知らない筈がない。

第4に、トランプが「世界を根こそぎ変えてしまう」ことを懸念している。第2次世界大戦以降、米国は世界の国々の警察官となり、世界の産業の仕組みを作り、運用し、米国市場を開放して友好国の産業を成長させて来た。その恩恵を被ったのは大戦で疲弊した欧州各国、日本などの世界の国々であり、これらの国々は世界規模の貿易網という仕組みの中で繁栄してきた。菅野氏が言う「世界」はそうした世界であり、彼はそうした世界が「根こそぎ変え」られてしまうことを恐れている。だが、そうした世界はいつまでも続かない。中国も米国が繁栄させた国だが、中国だけは米国に替わって世界に覇権を実現しようとしている。要するに中国は世界をチベット化しようとしている。日本も当然チベットの様になってしまう。これは「そうした世界」の終わりを意味する。

トランプの大衆極政策はギャンブルではない。周到に練り上げられたシナリオ通り実行されていると見るべきだろう。菅野氏らは中国共産党政府が周辺民族をどの様に虐殺しヒトラーも真っ青の民族浄化をしてきたことを学習し肝に銘じるべきなのだ。

資料;https://r.nikkei.com/article/DGXMZO30809520S8A520C1TCR000 

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