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KenConsultingの本多謙が政治/経済記事を独自の視点で評論します

「ファーウェイ問題」とはそもそも何なのか?

「ファーウェイ 衝突する『正義』」と題して日経新聞本社コメンテーターの中山淳史氏が、ファーウェイ問題は中国と米国の正義のすれ違いなのだから 「サイバー空間の安全性を確保する技術を米中で模索する」べきだと2019年5月25日のDeep Insight欄で述べている。

中山氏はファーウェイが、米国との衝突を避けるために米国社の傘下に入ろうとさえしたが失敗したこと、そのCEOが「国際法と各国の法規を守り、レッドライン(一線)を絶対に越えない」様にしていると言っていることを紹介している。更に「米欧各国が同社と中国政府の関係について様々な報告書を公表しているが、『政府・共産党の会社』と言い切るだけの確証はない。」とも述べ、そもそもF社が従業員の持ち株会社で民主的な会社だと言い、F社が、聞き分けの良いヨイ子なのに「米中貿易摩擦のとばっちり」を受けて困っているという印象を読者に植え付けようとしている。

だが、それは正しいのか?例えば5Gの特許取得数はF社が最も多く、F社が5Gで世界のイニシアティブを獲ろうとしていることが分かる。これは「よゐ子」のすることではない。その特許もほとんどが周辺特許で、核になるものはないと聞く。

HuaWei実績


そもそもファーウェイ(以下F社と呼ぶ)というのはどういう会社なのか?ファーウェイは“華為”と書く。“華為”は創業者の任正非氏が「中華の為に」という意味を込めて命名した会社だが、そこには中国の覇権を世界に広めようという意図を込めたものだ。任氏は人民解放軍出身であり、中国共産党の強力な支援を基に急成長した。中山氏はF社が従業員の意思で経営されている様に言うが、それは間違いだ。中国が共産主義国であることを忘れてはならない。中国の企業にはその中に共産党の支部を置くことが義務付けられており、共産党の指導に従わなければならない。主な経営者も従業員も共産党員であり、彼らは党中央の指示に従わなければならない。今日中国で成功している企業は皆中国共産党配下の企業だ。中山氏はこんなことも知らないはずはあるまいが。

中山氏は任氏を「どこにでもいそうな創業経営者」だというが、彼の実娘はF社の副会長を務め、昨年12月にカナダの空港で逮捕された時7つのパスポートを持っていたという。中国政府の“強力な”支援が無ければこの様なことは不可能だし、その支援はF社が中国共産党に仕えていたからこそ得られたと考えるのが自然だ。F社の急成長の要素は2つある。1つは共産党からの大規模な財政・要員・市場の支援であり。2つ目は中国政府の世界のネットワークを活かした、世界から、主に米国からの技術情報の窃取だ。これは鄧小平時代以来のものだ。日本もその対象でないはずがない。

知的資産に対して正当な対価を支払わなければ、そして膨大な研究費を支払わないでその成果だけを享受できるなら、正直な国や企業はたまったものではない。米国の主要な研究機関や大学は既に中国系研究者を締め出している。日本はどうか?更に恐ろしいことは、ジョージ・オーウエルの「1984年」も真っ青の監視システムをF社が構築してチベットやウイグルなどの国民一人一人を精細に監視し、そのシステムが外国に販売されていることだ。つまり我々が持っている人間や生命の尊厳についての認識がまるで違う非人道的な監視システムが世界に広められようとしているのだ。

更に、言論に対する認識も中国は異質だ。日本人であれば一旦宣誓したことは命をかけて守らなければと思うが、中国は米国の招きでWTOに加盟した時の約束を反故にし、更には言を翻して南シナ海を軍事基地化している。米国が問題にしているのは西側諸国の仲間に入れてもらった時の約束を中国が誠実に履行しないでかえって米国を凌駕し世界の覇権を獲り世界を中国式の統治システム(冊封体制)に組み込もうとしている事なのであって、F社の問題はその一部に過ぎないのだ。今後類似の問題がF社以外にも発生するだろう。

中山氏は「ファーウェイのサプライチェーン(供給網)を分断するだけでは米国や同盟国の産業にも打撃が及び、インターネットそのものの分断につながる懸念もある。正義を互いに振りかざすより、サイバー空間の安全性を確保する技術を米中で模索するのが賢明だと」いうが、米国は中国との供給網が途切れてもその代わりは容易に作れるので問題は無い。日本も同じだ。ベトナムや中南米など代りはいくらでもある。インターネットに至っては、中国が構築したインターネット網は世界から既に孤立している。だから、F社のシステムにバックドアがあるかどうかを話し合おうと呼びかけても意味が無い。無駄なコメントはしないほうが良い。

日本の通信システムや端末産業の凋落と惨状は知っての通りだ。この状況を千歳一隅のチャンスととらえ、日本にNOKIAや華為に代わる5Gを含む産業を育てようと、日経は経団連や国会議員や霞が関はどうして考えないのだろうか?不思議でならない。
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