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KenConsulting Blog

KenConsultingの本多謙が政治/経済記事を独自の視点で評論します

グローバル化の将来は

ローカリズム(ナショナリズム)も悪くない

「グローバル化の将来は」どうなるか、をリチャード・ボールドウィン氏が2018年6月5日の日経新聞「時論」欄で論じている。同氏はジュネーブ国際高等問題研究所教授で、マサチューセッツ工科大の経済学博士、ブッシュ政権の米大統領経済諮問委員会シニアエコノミスト、英シンクタンクCEPR所長兼務、という経済学の世界的権威なのだが、「時論」欄を読む限り、日本を良く知らないで語っている感じがする。

以下、気になる点を述べる。

そもそも、スイスは欧州を影で支配している勢力が欧州という国際環境の問題を処理する為に作った人工国家で、国際決済銀行の本部もスイスにあるくらいだから、スイスの知的機関に勤めている者の言うことはこの背景を頭に置いて聞く必要がある。この勢力が世界でグローバリズムを推進して来た黒幕だからだ。国際自由貿易環境を最も狡猾に利用して世界に覇権を広めようとしている中国の習近平が最近のダボス会議でトランプに対抗して中国が世界の自由貿易の守護者だなんているビックリな演説も、場所がスイスであることを考えると理解できる。中共はこの黒幕の支援を受けていたからだ。

コラム氏は「グローバル化は(価格差を利用して稼ぐ)裁定取引だ。第1次はモノ、第2次は技術ノウハウ、第3次は労働サービスの裁定取引」であり、「要するに在宅勤務が国際化するということだ。」と言う。彼の言う第3次グローバル化はグローバルなインターネット網の存在が前提となっている。彼は、例えば、ウエブサイトの編集は人件費の高いロンドンよりバンコクでやってもらう事が増える、と言っている。だがこれは、バンコクの労働者を低賃金でこき使う、という19世紀的論理の現代版に過ぎないのではないか?

それに、このグローバル発想は地方の文化を破壊する。例えば、数十年前、米国企業が顧客サポートなどのコールセンターを人件費の安いインドに大量に開いたことがある。インドの方が人件費が安く、インド人が英語を話せ、リアルタイムの会話が米印度間の高速国際通信網で可能だったからだ。インド人のコールセンターオペレータたちは米国の一般消費者とじかに会話することが多かったが、通常の会話以外に雑談することがあり、若い女性オペレータなどは米国人の同性愛者などに誘惑されたりすることがあり、自分の育った価値観との違いに深刻な鬱に陥った。地域毎に異なる価値観は多様性の基であり、壊してはならない。世界中をアラーやイエス・キリストや共産主義の教え一色に染めようとして世界は凄惨な経験をしてきた。

コラム子は「反グローバル化の動きは誇張されている。」「米国の製造業は25年以上にわたり自動化とグローバル化に苦しんできた。米政府は彼らがそれに順応するのを支える政策をとってこなかった。所得格差が拡大し、とくに低学歴の男性に問題が集中した。」とトランプが大統領に選ばれた米国の惨状を認め、従来の米国の政策を非難している。問題は、「低学歴の男性」たちにとって新たな技能を身に付け新しい職種に就くことがどれだけ大変か、ということだ。特に、中年以降の者にとってこの変化は受け入れ難い。家族を養ってきた米国の炭鉱労働者、鉄鋼労働者などが突然クビになり、自尊心を傷付けられ、酒や麻薬に逃れた挙句自殺しまた犯罪に走る悲劇にどう対処するのか?今回トランプに投票したのはこういう層なのだ。この新しい技能を身に付けるのは「高学歴の男性」にとっても過酷だ。筆者がかつて勤務していた米国スーパーコンピュータ会社の優秀な技術者は後に「俺は鯨漁船の銛打ちみたいなもんだ。」と言って碁や将棋を打つだけの毎日を過ごす様になった。技術者の頭脳は得意な技術に特化してしまうと他に応用が効かなくなってしまうのだ。人間というのは意外と弱いものだ。社会の変化はその弱さに対し優しくなければならない。そしてそれは穏健なナショナリズムの基で可能だ。

コラム子は「政府の役割は、(グローバル化)に敗れた人々が職を移動できるように(様々な)支援をするといったことだ。」と言っている。彼の言う政府の役割は、日本では主に政府ではなく企業が提供している。例えば、戦後傾斜生産方式により産業の主体が石炭から石油に移った時、炭鉱夫たちが大規模な労働争議を起こしたが、炭鉱夫たちの再配置を円滑に行ったのは三井三池など財閥の人事部だった。コラム子は日本の実情を知らない。

コラム子は第1次グローバル化により「(日米欧の)先進国がいち早く工業化し他の国々が停滞するgreat divergenceが起こり」、「1990年ごろから」「新興国が先進国よりも速い成長をとげる」「great convergence」が始まったと言う。日本人である筆者にしてみれば、これは日本が大東亜戦争で東アジアの欧米の植民地を解放し現地住民を教育したからだ、と言いたい。Great convergenceは日本の成果なのだ。

コラム子は「統計的にみても、言語が共通な国との間の貿易は、そうでない国の間のおよそ2倍だ。言語障壁がなくなると貿易は活発になる」と言い、自動翻訳の発達で日本人の英語能力の壁を楽観している。だが、Googleの自動翻訳を見ても、その品質は実務にそのまま使えるとは言い難く、自動翻訳技術の発展の歴史をみても、その進展はコラム子が言うほど楽観はできない。

徳川幕府の施政下で人口百万の江戸の50万の町人を取り締まる正規の警察官がたった24人しかいなかったこと、江戸時代に欧州のルネサンスに匹敵する学術の発展があったことを顧みれば、江戸時代の日本は一種の理想郷だったことが分かる。この、日本列島内で自給自足していた平和で安定した幸福な人々を戦争に駆り立てたのは、土着民を搾取するグローバリズムというビジネスモデルを世界で展開していた白人(アーリア人)だった。そして彼らの世界征服(グローバリズム)を可能にしたのは兵器や輸送手段などの科学技術だった。コラム子の主張は現代の日本用に多少表現を変えているが本質的にこの時代と変っていない。

勿論、日本が再度鎖国(強い制限貿易)状態に戻ることはあり得ない。しかし、鎖国(強いローカリズム・ナショナリズム)状態で繁栄し平和な世界を作っていたことは、日本人がその方法論を知っていることの証拠ではないか?

日経新聞編集委員の藤井彰夫氏は本コラムの「聞き手から」欄で「新しいグローバル化に対応するには、より柔軟な労働市場に向けた改革は急務だ。改革が遅れれば遅れるほど、日本全体が負け組になってしまうリスクも高まるのではないだろうか。」と述べ、グローバリストの主張に適応しないと時流に乗り遅れるという恐れを隠さない。これがグローバリズムは善だというパラダイムで育った日本のエリートの典型的な反応だろう。

だが、折しも米国のトランプ大統領は行き過ぎたグローバリズムで荒廃した米国の庶民を救うために米国内のそして世界中のグローバリストと戦い、グローバリストたちが構築して来た世界の仕組みを再構築しようとしている。この傾向は米国以外も類似している。時代はグローバリズムから新しいナショナリズムに移っている。日本の、そして世界のエリート達は新しいナショナリズムの時代がどういうものか理解できず不安に陥っている様に見える。日本人は、江戸時代の経験を基に新しいナショナリズムの世界像を描くことができるとは思わないか?


資料;https://r.nikkei.com/article/DGXKZO31338680U8A600C1TCR000

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トランプ氏、貿易戦争招く

日本は状況を冷静に分析し、有利に立ち回る

「トランプ氏、貿易戦争招く」というコラムが日経新聞2018年7月12日のFINANCIAL TIMES欄に載った。著者は同欄でおなじみのFinancial Times Chief Economic Commentatorの英国人 Martin Wolf氏だ。Wolf氏のヒステリックな反トランプぶりにはそろそろ慣れが来ていて、一流経済紙に載るコメントテータなんてこんな程度なのかという思いがしてくる。また、かなり中国に洗脳されているなというのが文章の端々から感じられる。このコラムはこんな視線で読むと楽しめる。

先ず「今、世界一の大国を率いているのは危険な無学者だ。」とトランプをこき下ろしている。トランプは欧州流の洗練された身のこなしや英国流の皮肉やオバマの様な学歴は無いが、実業の世界で勝ち抜いてきた知恵者であり、アメリカ人のカウボーイ好みに合ったイケメンなのだ。それに有能なシンクタンクが支援している。「トランプ氏やトランプ政権が何を望んでいるのか誰にも分からないため、交渉するのが極めて難しい。」というのも間違い。トランプは大統領選挙の公約を粛々と実行しているだけだ。さすがに、ワシントンは敵ばかりなので順調な人事ばかりとは言えないし、余計なスパイを大統領府に入れる愚は避けたいだろう。

コラム子はトランプが貿易戦争を招くことを恐れ、非難し、戦争の帰趨に対して悲観的であり、その論旨は中国を代弁しているのではないかと思わせる。そもそも、トランプが中国に貿易戦争を仕掛けたのは中国を今のうちに叩いて中国を米国に替わる世界の覇権国ではなく、米国の大人しい市場にしようとしたからだ。

米国はニクソン以来そのつもりで中国に技術と資本を与えたが、習近平の中国はAIIBや一帯一路で米国を凌ぐ世界の覇権国になろうとする姿勢を露わにした。一方民主党政権は米国を売って私腹を肥やした。米国の指導者たちは、これは失敗したと思ってトランプにその是正を期待しているだけなのだ。勿論、米国との貿易戦争は中国にとって不利であり、勝ち目が無く、中国は条件闘争にせざるを得ないのだが、その為には国際世論を味方につけなければならない。そこでウルフ氏のような著名なコメンテータが一流経済新聞の紙面をにぎわすことになるのだろう。

コラム子は言う。「米政権が貿易に関して発動した措置や発表内容は」「トランプ政権がいかに無能かをさらけ出してもいる。」なぜなら追加関税の対象は「米国の年間輸入総額の約3分の1に相当する。そのため米国の動きは早くも報復の応酬を招きつつある」のであり、これはWTOルール違反であり、「中国に貿易赤字削減を求めるのはばかげているし、次の産業育成策阻止は交渉できる類いのものではない。最後の強制的技術移転阻止は道理にかなった要求だが、達成は難しい。」と中国を擁護している。中国が薄利の加工&組立てビジネスから利幅の大きいハイテクビジネスに移行しようとしているのは明白だし、その政策が実現すれば米国は防衛産業での主導権を失い、世界に展開している米国軍の価値は激減し、中国と戦争すれば敗退を重ねることになるだろう。そうなった場合英国も米国も日本もチベットの様になってしまうのだが、コラム子はそれを容認するのだろうか?チベットでは絶望した仏僧たちが焼身自殺を続けているというのに。

コラム子は「トランプ氏が実際にしているのは、2歳児のように明確な目的もないまま既存の仕組みを壊しているだけだ。中国と関係を修正したければ、(中略)各国と力強く連携し、中国に立ち向かったはずだ。」とトランプを非難しているが、米国が構築した世界貿易の「既存の仕組み」をもっとも 狡猾に利用して米国を恫喝し始めたのは中国であり、その他の「各国」は程度の差こそあれ中国と同様狡猾に米国を利用して来たのだ。だから、「各国と力強く連携」するなんて無意味だし、トランプが「明確な目的もないまま既存の仕組みを壊して」いると言うのは間違いだ。それは米国の想定内なのだと理解すべきだろう。

コラム子の、中国が保護主義により米国市場から「締め出されると、その輸出先が他国へと移っていくからだ。例えば中国から米国に輸出されていたモノが欧州連合(EU)市場に出回るようになると、今度はEUが自国製品を輸入品から守る必要を感じるようになるかもしれない。」との懸念は、彼が中国の立場に立っているなら全く納得できる。中国の製品が世界から締め出されるからだ。それは米国が狙っていたことではないのか?

中国が生き延びる道はかって日本の自動車メーカが米国でしたように自国の工場を米国に移し、米国人を雇って米国のGNPを増やすことだろう。だが、それが出来る企業が中国にどれ程あるのか?例えばアップルは中国の工場を閉鎖して米国に工場を移せばよく、中国はそれに対して儚い抵抗をするしかないだろう。ZTEは米国や日本から部品を買って組立てているだけだ。

コラム子はトランプへの対応として「報復だけがトランプ氏の路線を変えることができるかもしれない。」と言い、「筆者なら報復する。それは報復に効果があるからではなく、報復しないと弱く見えてしまうからだ。」と述べている。これは米国に対する中国のリアクションそのものだ。コラム子の頭はかなり中国化されている様に見える。

コラム子は「高所得国が打てる最も大胆な策は」「トランプ氏が提案する関税ゼロの貿易をすることだ。」「そんな世界もあるのかもしれない。」と述べている。コラム子がどの国をこの「高所得国」として想定しているのかは分からないが、日本がそれに当たることは間違い無い。日本は既にTPPを発足させ、EUとの関税撤廃の条約も締結した。コラム子は「そんな世界もあるのかもしれない。」と言うが日本は既にそんな国になっているのだ。

だが、日本は米国と対立している訳ではない。米国が「中国の対米貿易黒字の削減」、「中国のハイテク産業育成策『中国製造2025』の阻止、「強制的な技術移転の阻止」を達成すればそれは日本の利益にもなる。従来通り米国の良きパートナーとしての立場を堅持していれば良い。

更に、蒋介石夫人やノーベル賞作家パール・バック以来米国には中国に対する美しい幻想が定着している様だ。日本も古代中国に対して似たようなものだが、中世以来の中国人像のおぞましさについて日本人はより深く認識しそれを世界に広めなければなるまい。


資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180712&ng=DGKKZO32866400R10C18A7TCR000 

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欧州分断するポピュリズム

ポピュリズム非難と民主主義擁護の矛盾

「欧州分断するポピュリズム」と題するコラムを日経新聞の上級論説委員が2018年5月31日の中外時評欄に載せている。内容は欧米のリベラルな論調を後追いしたもので、欧州でポピュリズム政権が拡大していることを憂いているものだ。即ち、ポピュリズム政権が「司法やメディアを抑えつけ、EUの決めた難民の受け入れ枠は拒否した。掲げるのは、法の支配や寛容さを重んじるEUのリベラルな価値観と一線を画す『非リベラルな民主主義』だ。」とリベラルの退潮を嘆き、「英国がEUを去ったあとも、ドイツとフランスがリベラルなEUの価値を守り、ポピュリズムの拡大やユーロ危機の再発を防ぐ、(中略)こんな期待にも、再び赤信号がともり始めたようだ。」とコラムを閉じている。

このコラム子が欧州発のリベラリズムを擁護しようとしているのならその論調に含まれている矛盾に気付かなくてはならない。英国人が「どうしてEUから脱退するのか?」と日本人に問われたとき「日本の国内政策が大陸の上海(だったかな?)で決定されたら嫌だろ?英国人はブリュッセルの官僚に自国のことを勝手に決定されるのは嫌なんだよ。」と答えたという話を聞いた時、なる程と納得した。

要するに、リベラリズムはグローバリズムと一体で、その思想をEUは実現しているのだが、それはブリュッセルの官僚たちが28加盟国のほとんどを決定し運営するシステムなのだ。この体制はソビエトを中心とする共産主義と相似形になっている、と言われたら驚くだろうが、事実だ。このシステムは加盟各国の主権を制限するから、その制限を正当化し国民を納得させる為にメディアが使われる。つまり、メディアの仕事は加盟国の国民を騙してブリュッセルのリベラリスト達の意向に納得し自分の不利益を受け入れるようにすることなのだ。移民の割り当てなど正にそうだ。各国の国民は選挙でその不利益を拒否しているのだが、リベラリスト達はそれをポピュリズムと言って非難し、民主主義の危機だと言って嘆く。これって矛盾しないか?この矛盾に気が付いたら、このコラム子は欧州のリベラリズムを英国人の様に避難するはずだ。だが、メディア側のコラム子はリベラリストに奉仕することを当然としているのかも知れない。

このコラム子は優等生の匂いがする。優等生は教えられた「正しい」ことを全て頭の中に記憶し、それを自分の知識として整理し組み替えて書いたり話したりする。自分の価値観を基に情報を篩(ふるい)にかけることはしない。このコラムがそうだ。メディアとしてリベラルな立場を当然とし、それを前提とし、その矛盾を無視して論陣を張っている様に見える。あるいは、欧米のリベラルの論調に追随していれば格好が付くというだけなのかも知れない。

欧米の正統派メディアも同様だ。彼らは正当な民主主義の手続きを経て成立したトランプ政権を貶め、なんとかして 引き摺り降ろそうとしているが圧倒的な人気のトランプに対して劣勢だ。日本のマスコミも安倍政権に対して同様だ。このコラム子の様な優等生には一度、何が自分と自分の家族と自分が属するコミュニティーにとって重要かを考えて頂きたいと思う。例えば「あなたは日本の税金の問題を上海の中国人に決めてもらいたいですか?」だ。筆者なら当然NO!だ。


資料;https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31155280Q8A530C1TCR000/  

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AIは人を幸せにするか

クラウス・シュワブ氏は日本にとって危険人物か?

世界経済フォーラム会長のクラウス・シュワブ会長との「AIは人を幸せにするか」という題のインタビューが2018年5月8日の日本経済新聞に載った。筆者はかって日本でAIソフトビジネスを立ち上げたことがあるので興味深く読んだ。シュワブ氏は「ダボス会議」を主催する、世界経済の方向性を考える上で不可欠な人だ。
インタビュー記事からシュワブ氏を探ってみたい。

スイスの大学の博士号を持つにすぎないシュワブ氏がなぜダボスというスイスの寒村に世界中の指導者を集め世界の問題を話し合うようにできたか?それはスイスが永世中立国となり多くの国際機関の本部がスイスにあるのか?という疑問につながる。世界決済銀行の本部もスイスにある。スイスはロスチャイルド家などの欧州の影の指導層が国家間の紛争を調整する場として作った人造国家なのだ。だからシュワブ氏はドイツ出身でありながらスイスに住み、一介の博士号取得者でありながらこの影の指導者層の信任を得た指導者として国際会議を主催できているのだ。国際社会という枠組みは欧州で発生しそれが全世界に拡大した。国際社会を一つの論理で統一的に把握し導こうという彼らの指向性はかつて共産主義を生み育てたが、これは失敗した。この指向性は彼の話しの節々に出てくる。シュワブ氏と世界経済フォーラムはこの様な性質の団体だということは覚えておいた方が良い。

彼はICT革命に続く第四次産業革命を提唱し、「第4次産業革命センター」を米サンフランシスコに設立し2つ目のセンターを日本に作ろうとしている。このセンターの目的は「技術に限らず社会、政治にも及ぶ」産業革命がもたらす「有難くない結果を避けられる制度、規制を分析し、世界に提案」することにある。今後日本政府や産業界は同センターからの働きかけに対応する面倒な作業に振り回されることになるだろう。そういう意味でも、このインタビュー記事はより多くの人が読むべきだ。

シュワブ氏による産業革命の区分は割とユニークで、『地球は宇宙の中心ではない』ことを知り、科学に目覚め(第1次)、『人間は生物学的進化の一部である』ことを発見し(第2次)、「我々の意思決定が意識的ではなく、無意識に大きく影響されている」ことを理解し(第3次)、人工知能によって「コンピュータの方が人類より優れたアルゴリズムを作り出すことを眼の当たりにした(第4次)という西洋人らしいものだ。彼は無意識界を深く思惟していた東洋思想には詳しくない様だ。それは「世界が共に生きていく方法。その優れた模範として孔子の教えに学ぶことが多いと考えている。」という言葉からも分かる。これは支配体制維持の為の理論だった儒教に対する買い被りか誤解だ。儒教の為に中国は停滞し西洋の攻勢により没落した。氏はむしろ徳川300年の平和と繁栄をもたらした日本の文化に学ぶべきだろう。日本の歴史家は彼に、徳川の平和が1万年以上前の縄文文化や大和朝廷が覇権を獲るまでの動乱の歴史に依ることを教えなくてはならない。彼は中国に洗脳されている匂いがする。

彼の言で見逃せないのは「プラットフォーム経済というものが確立した以上、それを作り上げた企業には競争戦略の必要性が減る。あとは立法者たちの仕事だ。プラットフォーム経済を定着させ、経済の競争力をどう保つかを考えることだ」だ。これを読んでAMAZONやGoogleやフェイスブックなどのプラットフォーム産業がなぜ世界制覇したかが分かった。シュワブ氏らの戦略に同調する投資家が、例えばAMAZONが成功するまで10数年も忍耐強く投資を続けたのだ。日本のIT指導者たちはこの戦略に気付かず、プラットフォーム経済では完全に後れを取った。中国の阿里巴巴の成功もWall Streetが支援したからだ。プラットフォームサービス上に成立したICT産業はそのサービス事業者の掌の上でしか踊ることができない。シュワブ氏らは海外のプラットフォーム事業者のビジネスが有利になる法律をこれから色々と日本政府に要求してくるに違いない。日本はそれに対抗する戦略が必要だ。

中国との経済摩擦に関して氏は「単なる貿易戦争ではなく、第4次産業革命における覇権が絡んだ攻防だろう」と言っている。これは中国を買い被り過ぎだろう。中国は本質的に詐術と体面の国だ。第3次産業革命を成立させた科学技術を外国から借りて来て製造業を興しGDPを世界第2位にしたのに酔って海外に覇権を求めたに過ぎない。中国は早まったのだ。

日経新聞の中山敦史氏は「聞き手から」の欄で、ルネサンスで「大きかったのは人間の価値判断基準が『啓示』から『観察』に移っていったことだろう」と述べ、更に「第四次産業革命を象徴する言葉とは何か。『解析』だろう。」と述べている。ビジネスでも学問でも「啓示」が大手を振っている分野がまだまだ多い。この言葉は何度も折に触れ多くの事象に適用してみるべきだろう。

資料;https://www.nikkei.com/article/DGXKZO30169230X00C18A5TCR000/

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米欧の断裂 『最悪』への覚悟

日本が想定すべきシナリオ


「米欧の断裂 『最悪』への覚悟」という題で菅野幹雄氏が日経新聞2018年6月29日のDeep Insight欄に一文を載せている。その要旨はこうだ。

トランプは自動車への輸入関税、安全保障費の負担増額、移民政策の批判の3点で欧州を揺さぶっている。これは自由貿易、多国間主義という旧来秩序を破壊することになる。この為EU大統領は「最悪のシナリオに備えなければならない」という文書を提示した。「自由主義や西洋の民主主義といった当たり前の概念が一斉に再検証の時を迎えている。米国に安全保障を依存する日本は何を負担し、地球規模の課題解決でどう貢献するのか。」「日本も欧州とともに、米国との向き合い方を見直す必要がある。」

「最悪のシナリオ」とは欧州がGDP2%の軍事費を負担すると共に、中国で製造しているドイツ車が米国で売れなくなる事態を指しているのだろう。というのは、軍事費負担に加え、ドイツは中国を利用しようとして大量の投資を行い、自動車製造工場を安価に作りそれを米国に輸出している。この車に高額の輸入関税がかかればドイツ車は米国で売れなくなり、それを製造している中国の工場への投資が回収できなくなり、ドイツ銀行は債務超過になり、EUの核であるドイツ経済が破綻し、EUが破綻し、欧州も破綻する、というシナリオが現実になる。これが本当の「最悪のシナリオ」なのだ。

複数の理念を構造化してその論理構造の周囲に概念の系を構築し、それに従って行動を決めるのがドイツの欠点だ。ナチスや難民の受け入れなんかその典型例だ。だからドイツはWW1でもWW2でも現実主義の英国に負けた。EUもそのドイツ式の為に瓦解しようとしている。

こういう頭の悪い田舎者のドイツと日本は余り親密に付き合うべきではない。WW2では軍事同盟なんかを結んで大失敗した。そもそもドイツは大東亜戦争時でも蒋介石に軍事将校や武器を提供して日本軍を苦しめた国だ。現代では、やがて自分に歯向かってくるのも理解できずに中国に虎の子の技術を教えて中国を日本の競合国にしている。ドイツ銀行の筆頭株主はいつの間にか中国系になったから、ドイツは半分中国に乗っ取られたようなものだ。

菅野氏は「日本も欧州とともに、米国との向き合い方を見直す必要がある。」とコラムを結んでいるので、筆者の考えをここで述べておこう。戦後の国際秩序が崩壊する「最悪のシナリオ」は日本にとってチャンスだ。太平洋戦争で日本に手を焼いた米国は日本を弱兵平和産業国家へと導いた。これはオバマの時代まで続き、それが為に日本は軍事力を持てず、米国、中国、韓国のATMになって来た。こうした体制の崩壊を慶賀しなければ日本人ではない。だが、日本を国際社会の中でどの様な国とするかのシナリオが日本側に無ければこの体制崩壊は日本の混乱を招くだけになるだろう。以下、3つのシナリオを挙げたい。

1. 米国に深く入り込む。富の源泉である製造業を米国は再生しようとしている。だが一旦失った製造のノウハウは容易に再現はできない。そこで日本の製造業は米国に工場を作り米国人に製造技術を身に着けさせ、なお且つ製造の核になる部分を日本に留めて米国の工場を遠隔制御する。これは自動車で進んでいるが、その他製造業全般で進める。
2. 米国政府と産業の意思決定プロセスに深く入り込む。多数の若者が米国の大学に進学し、その卒業生が策研究機関や主要企業に勤務する様誘導する。彼らは政治/産業分野で米国流の世界戦略の構築/実施の方法論を身に着けるだろう。その経験を日本で活かす。
3. 日本の経済ブロックを作る。TPP11をさらに強力に組織運営し、世界がWW2の前の様にブロック経済化しても日本の経済圏は確保する。


資料; https://r.nikkei.com/article/DGXMZO32365020Y8A620C1TCR000

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「とんでもない時代が訪れた。」は愚

日経新聞のOpinion欄にコメンテータの菅野幹雄氏が「『脱・西側』のトランプ動学」という文を載せている(2018.5.23)。

菅野氏は「とんでもない時代が訪れた。」とコラムを始めている。彼は続いて「大国の双璧をなす米中が」つばぜりあいを始めたと嘆き、「異端のリーダーによる信念、計算、そして気まぐれが、関係国の政府と民衆、国際社会を揺さぶり、金融市場を荒らし、流血と犠牲を伴う抗議行動を起こす。」と続け、「派手なディールが尻すぼみとなり、トランプ氏の高揚が一過性に終わる可能性ももちろんある。だが『歴史的な成果』で政権維持の追い風を得れば、本当に世界を根こそぎ変えてしまうかもしれない。このギャンブルは侮れない。」と結んでいる。

菅野氏の論調はCNNやNYタイムズの様な米国主流派のマスコミに共通したものであり、その意味では業界の主流派なのだが、この論調の前提になっている認識には問題がある。

先ず、トランプ氏が「気まぐれ」と言っているが、これは当たらない。彼は選挙前の公約を忠実に実行しているだけなのだ。その意味でトランプは誠実で実行力に富む。米国は好景気で、失業率は2000年以来の4.1%に下がり、なお且つトランプのカウボーイ的なやり方(動学)はガンマンが悪漢をやっつけるのにも似て大衆受けしている。

次に、トランプはTwitterで国民を誤誘導していると非難しているが、国民を嘘で誘導して来たのはマスコミだという事実がある。ベトナムやイラクへの攻撃時もマスコミが国民の正義感に訴え攻撃を正当化した。大統領選挙時、トランプへの人格攻撃が多くなされたがその多くが捏造であることが明らかになっている。マスコミはトランプの何に怒っているのか?それはTwitterなどで大統領自身が国民に直接発信することでマスコ見の既得権益構造を破壊していることに怒っているのだ。事実、日経新聞のDeep Insight程度の情報なら、手間暇を問わなければインターネットから得られる。

第3に、中国を世界の双璧をなす大国だとしていることだ。中国のGDPは世界第2位と言われているが、中国の統計は人為的で信用できないことは誰でも知っている。世界から30年は遅れているとして鄧小平が経済を開放し、米国から技術と資金を与えられて製造工業に突出して成長した中国の製造業の利益率がせいぜい2%であり米国資本の掌の上で踊っているだけのことは経済新聞のコメンテータなら知らない筈がない。

第4に、トランプが「世界を根こそぎ変えてしまう」ことを懸念している。第2次世界大戦以降、米国は世界の国々の警察官となり、世界の産業の仕組みを作り、運用し、米国市場を開放して友好国の産業を成長させて来た。その恩恵を被ったのは大戦で疲弊した欧州各国、日本などの世界の国々であり、これらの国々は世界規模の貿易網という仕組みの中で繁栄してきた。菅野氏が言う「世界」はそうした世界であり、彼はそうした世界が「根こそぎ変え」られてしまうことを恐れている。だが、そうした世界はいつまでも続かない。中国も米国が繁栄させた国だが、中国だけは米国に替わって世界に覇権を実現しようとしている。要するに中国は世界をチベット化しようとしている。日本も当然チベットの様になってしまう。これは「そうした世界」の終わりを意味する。

トランプの大衆極政策はギャンブルではない。周到に練り上げられたシナリオ通り実行されていると見るべきだろう。菅野氏らは中国共産党政府が周辺民族をどの様に虐殺しヒトラーも真っ青の民族浄化をしてきたことを学習し肝に銘じるべきなのだ。

資料;https://r.nikkei.com/article/DGXMZO30809520S8A520C1TCR000 

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外国人労働とどう向き合うか?

これは日本がどういう国であるべきか?という問題

「外国人労働とどう向き合う」という記事(上)、(下)が2018年6月25日、26日の日本経済新聞「経済教室」に載っている(注)。この見出しは(上)では「拙速な受け入れ拡大避けよ。 「技能実習」の経験を参考に」、(下)では「『量』変調の政策・意識転換を。 『選ばれ続ける国』へ正念場」とある。コラム氏は、「現状の外国人の技能実習制度は弥縫策であり、様々な問題を抱えている。それを解消する為に政府は2025年までに50万人超の労働力を確保すべく在留資格を拡大した。しかし、日本経済は年間40万人の外国人労働力の参入を確保しないと回らないので、『帰還移民』の様な発想を変えた政策が望ましい」と言っている。「帰還移民」とは、何年か日本で働くと母国に帰る仮想移民のことだ。

海外の労働力を日本の産業の為にどう使うか、という問題はコラム氏とは別の観点から注意深くなければならないと思う。筆者は移民について「移民の経済学」という題で2015年7月1日にブログを発表し、一人の移民犯罪者を受け入れることで社会を維持する費用が等比級数的に増大するので、移民は決して経済的ではないことを指摘している。事実、日本は過去に移民で失敗している。朝鮮半島からの移民が良い例だ。日本が李氏朝鮮を併合した時、日本の文盲率は5%で、朝鮮の識字率は5%だった。日韓併合後、朝鮮半島から豊かな日本に職を求めて朝鮮人が少しずつ日本に移住し始めたがその多くは文盲で、日本で貧困階層を構成した。大東亜戦争後、彼らは連合国側に寝返り、戦勝国民として日本人に多くの犯罪を犯した。日本はこの様な犯罪者を朝鮮に送還しようとしたが、李承晩はそれを拒んだので、日本は彼らを日本に滞留させざるを得なくなった。李承晩は済州島で自国民を大量虐殺し、その避難民は日本に不法入国し、そのまま日本に滞留した。これらの移民たちは日本で被害者ビジネスを始め、日本を大いに貶めた。彼らの為に日本が負担した費用は筆者がブログ「移民の経済学」で指摘した通りだ。

ドイツは第二次大戦後の復興の為にトルコ人を移民させた。彼らはドイツ国内に住み、次第に家族を呼び寄せ、彼らを頼ってその親戚たちが移民してきた。移民たちは当初帰国するはずだったが、彼らの子供達がドイツで育ったこともあり、ドイツに帰化することを願った。誰でも自分の生まれ育ったところが故郷になり、故郷で自分の生を終えたいと思うものだ。これが人間の性(さが)なのだ。ここで宗教というやっかいなものが絡んでくる。トルコ人はイスラム教を捨てず、キリスト教に改宗せず、キリスト教社会を侵略しようとしている。下層社会に押し込められたイスラムの移民たちは上層のキリスト教社会を憎み、倒そうとする。移民たちは特定の産業を支配し、ドイツ社会は移民無しでは運用できなくなってしまい、ドイツは不法移民を送還できなくなった。同じ問題が「帰還移民」を実行した日本で必ず起こるだろう。「まあ、まあ、」では済まない。事実、かつて日本の地方都市で「誰かがコーランを破って捨てたのはけしからん」とイスラム教徒たちがデモをし、混乱したことがある。「帰還移民」は理論的には成立するが、人間の本姓を考慮していないので問題の解決にはならない。

筆者の考えるソリューションは以下の通りだ。A国からの労働者を活用したい団体Bは、先ずA国に進出して自分のビジネスを行い、A国の労働者をA国で雇う。その者は自己の費用で日本語を勉強し、日本で仕事ができる様日本式の仕事の仕方を身に着ける。これに習熟した段階でBはその者を日本で働かせる。その更新期間は2年程度とし、必要に応じて帰国させ、家族を帯同しない。こうすれば「使い物になったころに帰国してしまう」技能実習生の問題は無くなる。A国は自国の労働者の質を税金を使わないで上げることができる。

サービス業や農業は競争相手に勝つには安価な労働力が今すぐ欲しいだろうが、「海外の労働力を使わない」という競争相手と同じ条件で商売できる環境を受け入れるべきだ。機械化やシステム化で工夫の余地はいくらでもあるし、その様にして開発したシステムは海外でも展開できる。


資料;https://r.nikkei.com/article/DGXKZO32110960S8A620C1KE8000 https://r.nikkei.com/article/DGXKZO32194360V20C18A6KE8000

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中国の無責任を許すG7

日本は中国を反面教師として独自の世界戦略を

日本経済新聞2018年6月22日朝刊のコラムにコメンテーターの上村率直氏が「中国の無責任許すG7」というコラムが掲載されていている。上村氏は「アジア諸国が中国からの資金の援助に頼って港湾や鉄道などの社会インフラを整える計画を次々の軌道修正している。」「高利の借金を膨らませて返済に行き詰まったあげく、肝心の社会インフラそのものが中国の国有企業へと実質的に売り渡される。」状況に警鐘を鳴らし、「新シルクロード経済圏構想『一帯一路』の掛け声でアジアやアフリカのインフラ事業に関わり、巨大な債権国になりつつある中国。取り組みの総額は一兆ドル規模ともいわれている。危なっかしさを感じさせるのは、外国へ流す資金の全容を中国自身がきちんと把握し切れていないようにみえることだ。」とその警鐘を具体的に説明している。これへの国際社会の対処は「日米欧や新興債権国が集まって、貸し先の国々の情報を交換したり問題国の債務再編を相談したりする『パリクラブ(主要債権国会合)』が中国の不透明さをただす場になってもよさそうだが」中国はその「正規メンバーの義務を免れている」と中国の危険性を指摘している。上村氏は、この対策を具体的に相談するのがG7だが、「G7の首脳たちが通商政策で対立」している為に中国への外圧対策をまとめ切れず、「債権大国になった中国の無責任ぶりを許している」と嘆いている。
この問題の背景と日本のあるべき独自の対応を筆者なりに考えてみたい。背景として以下が挙げられる。

第一に、日欧のインテリは中国をまとまりのある近代国家だと思っているがそれは間違いだ。歴史的に見て、中国がパリ革命で定義された近代国家だったことは現在に至るまで無い。中国の本質は収奪を主とする馬賊の集合体であり、今の日本の様に全体として統一された運営はできていない。例えば朝鮮人の多い瀋陽軍区は北朝鮮を支援しており、それに対して習近平は影響力を行使できていない。彼は瀋陽軍区に入る時は戦車に乗って暗殺されないよう細心の用心をする程だ。最大の馬賊集団である中国共産党の首領でもこの様(ざま)だ。

第2に、中国の役人は上役に高く評価され上位の役職を得る為に何でもありの行動を取る。自分の評価が上がるなら庶民が死のうが生きようが顧慮しない。市場原理など頭の片隅にも無い。毛沢東の大躍進政策の時地方の役人は庶民の農具や鍋を供出させて屑鉄を作った例があるし、外国から製鉄技術を導入した後鉄鋼を作り過ぎて巨大な在庫の山を築いた。鉄鋼の生産量が自分の評価指数だったからだ。海外へのインフラ建設も同様だ。契約を纏めればそれが評価になるから、後の事は考えないで賄賂と謀略で兎に角契約を纏める。商業道徳など頭の片隅にも無い。顧客が融資の返済に困る様にして港湾などを自国のものにする。

第3に、中国には外貨が枯渇している。米国のグローバリストは中国を自分に都合の良い下請け加工業者国家にした。その為に元とドルの交換比率を保証した。中国の主要産業は低マージンの組み立て産業なのだが、人件費が高騰して中国で製造するメリットが無くなり、工場は東南アジアに逃げ、外資を稼ぐ手段が無くなった。更に、欧米が投資したドルは高級官僚の個人資産になってしまった。これには中国特有のマジックが効いた。資本主義国では貨幣は経済原則に則りその総供給量は厳格に管理されるが、中国の様な共産主義国家は貨幣を自分の好きなだけ発行できる。例えば、国家が10兆元のプロジェクトを実行すれば、国家は10兆元の貨幣を発行してプロジェクトを請け負った高級官僚に渡す。彼は自分の一族を使ってそのプロジェクトを出来るだけ安く仕上げ、その総費用が7兆元だったとすると残りの3兆元は彼のものになる。彼はそれを自分の私有財産として欧米の銀行にドルで預金する。この時の元・ドルの交換比率は米国が保証している。この種のプロジェクトは国内で無人の新都市を建築するだけでなく、先進国の先端技術企業を買収したり、外国のインフラを建設したり、外国の高官を買収するのにも使われたが、その多くは焦げ付いた。こうして中国国内のドルはすっかり枯渇してしまった。海外政府とのプロジェクトどころではなくなった。

第4に、欧州諸国も第二次世界大戦後に米国主導で構築した世界経済&防衛体制の恩恵を受けた、ということだ。EUは米国から主導権を取り戻す意図があったが、その盟主のドイツも中国の無責任な投資の影響を被っている。例えば、ドイツ銀行の筆頭株主は中国の資産家になった。おまけにドイツは中国に投資し過ぎ、それを回収できなくなっている。トランプは米国に替わって世界の覇権を取ろうとする中国の意図を挫いて中国に対する米国の覇権を取り戻そうとしている。その為に中国への経済制裁の為にドイツの中国に対する債権に傷がつくこともあるだろう。この方針の対立がG7でのトランプとメルケルの不調和の原因とみるべきだろう。

さて、第二次世界大戦後米国のグローバリストが用意した世界経済の枠組みの中で欧州各国や中国や日本は経済発展している間に米国は疲弊してしまった。中国は米国に替わって世界の覇権を握ろうとしている。トランプは米国のグローバリストの失敗にナショナリズムで対抗しようとしている。世界は第2次世界大戦前の様にブロック経済になるかも知れない。この様な環境で日本は自国を中心とするブロック経済圏を構築し、ブロック内で完結する経済圏を目指すべきだろう。日本は海外に流出した核となる企業を自国に還流させ、ブロック内各国の経済構造を日本無しでは成立しないようにすべきだ。TPPはこの意味で日本と友好国にとって肝要な仕組みとなるだろうし、その運営にあたっては中国が反面教師となるだろう。

(資料; https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32069070R20C18A6TCR000/ ) 

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米、中国に貿易戦争布告

時代は“冷戦2”

日経新聞2018年5月10日のコラムにマーティン・ウルフ氏(FINANCIAL TIMES チーフ・エコノミクス・コメンテーター)の「米、中国に貿易戦争布告  多国間協議で国益追及を」と題する文が載っている。 これは5月3日からの米中の通商協議に先立ち米国が提示した「枠組みの草案」に対するコメントだが、ウルフ氏はこの草案を「米国が築き上げてきた貿易制度を支える非差別主義や多国間協調主義、市場ルールの順守といった原則に反する。米国は自分たちを恥じるべきだ。」と口を極めてトランプを罵っている。氏は更に「中国は、いくつかの点でまだ途上国ではあるものの、超大国としての自覚を持つべきだ。」と中国を擁護し、「それが自分勝手ないじめっ子となった指導者のたどる運命である。」とトランプを脅している。

歴史を振り返ると、ルーズベルトら米国のリベラリスト達は中国に共産主義政権を建てる為に中国大陸に進出していた日本と戦争して勝ち、日本で社会主義革命を起こした。WW2後は疲弊した日本を含む世界各国を経済支援して国連やWTOなどの多国間協議の枠組みを通じて世界の産業のルールを支配した。日本はこの環境に順応してGDP世界第2位までになった。米国は中国に対して、特に鄧小平時代から膨大な投資を行い、中国に自国の工業生産を代替させ消費地として育ててきた。ウルフ氏の様な米国のエスタブリッシュメントはこの成果を継続し発展させたいだろうし、そのシステムを破壊しようとするトランプには我慢がならないだろう。

だが、彼の怒りは妥当だろうか?鄧小平は韜光養晦(とうこうようかい)を掲げ、外国には中国が先進国に対し従順な弟であることをひたすらアピールしたが国内向けには将来世界の覇権獲得を握ろうとしてきた。そしてリベラリスト達が構築した世界経済の枠組みを利用して委員会の委員や先進国の政治家や先端技術の企業を買収し、先進国への移民を増やしてきた。ビジネススクールでは「選択と集中」を教え、それが自国の産業の一部を中国など発展途上国へ移植する正当な理由となった。

だが、中国はGDP世界第2位になるに従い、米国に替わる覇権を軍事的、経済的に確立しようとし、他方米国の一般庶民は職を失って窮乏し、その影響は無視できないほどになった。ウルフ氏のような理想家は中国を富ませれば中国には中間層と民主主義が育ち、彼らが構築した世界経済の枠組みを遵守して良きパートナーになり、米国に利益をもたらすはずだったが、中国は米国とあらゆる面で対抗し、世界に貿易と軍事で覇権を得ようとした。

神の正義が存在しない中国人の頭脳には欺瞞と韜晦と「力による正義」しかない。三国志を読めばそれが良くわかる。ウルフ氏は「多国間協議で国益追及を」と言っているが、それが、中国が多国間協議の場で巧妙に主導権を取って自国の影響力を拡大した方法を知らない筈がない。ウルフ氏は中国の利益を代弁しているのだろうかと疑わしくなる。そして日経新聞はどの様な意図でウルフ氏のこの論文を掲載したのだろうかと疑わしくなる。

中国人がチベット、旧満州、モンゴル、ウィグルなどで行っている民族浄化の残虐さを知れば、中国の覇権の下に入った民族がどの様な目にあうかは容易に分かる。中国のSILENT INVASIONが完了に近づいている豪州は今後どの様な運命と辿るだろうか?

トランプは中国の覇権を挫こうとしているが国内のウルフ氏のようなエスタブリッシュメントがトランプを失脚させようと懸命だ。だが、彼らは依然として中国に勝手な幻想と理想を重ねている。日本は中国と2千年の付き合いがあり、中国人の実像を知っている。日本は米国人の中国への幻想に付き合わざるを得なかったし、今後は米国の中国をリセットするプログラムに付き合わざるを得ない。

世界はこれからナショナリズムに向かって大きく変化するだろう。日本は「中国5000年の歴史」の幻想を捨て、「選択と集中」で海外に出て行った主要産業を自国に回帰させ、日本を22世紀まで反映せしめる産業群を国内で育成させ、それをもって外国に対する交渉主導権を取らなければなるまい。

(資料; https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30257860Z00C18A5TCR000/)

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デジタルサミット2018に寄せて(2)

情報産業は国家安全保障にどう関わるべきか

日本経済新聞社が6月4,5日 に「世界デジタルサミット 2018」を開催し、そのライブ中継を見た。テーマは「シンギュラリティへの挑戦」。その動画アーカイブは後日公開の予定)サミット2日目の最後のプログラムは「サイバー・ウォーフェアと世界協調」だった。この題は矛盾する概念を含んでいる。“ウォー(War)”は対立の結果発生するが“協調”は平和に関連する概念だ。何故こういう題になったのか?

インターネットは世界の距離の概念を無くし、完全な民主主義を実現すると期待された。世界の距離の概念が無くなれば人々は互いに理解し合い世界は平和になるだろうと理想主義者たちは考えた。米国の投資家たちはインターネットのこの性質を利用してグローバルなインターネットサービスのビジネスモデルを実現した。その結果、グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトなどがグローバルにネットワークサービスを提供するに至った。

だが、人と人は話し合えば話し合うほど違いがはっきりし、妥協できない状況に陥ることもある。数千年間民族対立を繰り広げてきたパレスチナでイスラエル国境の壁が建設されているのはその好例だ。最近はトランプがメキシコ国境に壁を造ろうとしている。メキシコからの不法移民や麻薬などの犯罪流入を阻止するためだ。国家という生命財産文化産業のユニットを安全に保つには利益の相反する国家に対して障壁が必要だ。

グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトなど世界規模でサービスを提供するサービス事業者が世界中の個人の売買や移動や主張などの動きに関する情報を占有するに至りこれに対処する動きがある。例えば、5月31日の日経新聞朝刊6面の「企業データと大衆監視」という寄稿(https://r.nikkei.com/article/DGKKZO31145610Q8A530C1TCR000?type=edition&name=paper&edition=20180531M101)ではラナ・フォルーハー氏(コラムニスト)はその危険性について述べている。これらの米国系ネットサービスのサーバーは米国にあり、日本国民のこれらのサービスのユーザの情報を日本政府は把握できないし制御できない。韓国資本のメッセージングサービスLINEのサーバーは韓国内にあり、日本国はそれに対して無防備だ。これは国家主権を半分放棄したものと言える。EU(欧州連合)はこの危険性を認識し、GDPR(一般データ保護規則 General Data Protection Regulation)を制定した。中国政府もこれを認識し、自国にTwitterやSMSやGoogleやAmazonに対抗するサービス事業者(バイドウ、アリババ、テンセントなど)を育て世界的にサービスを拡大し同時に国内を世界のインターネット網から隔離している。中国共産党政府は第2次世界大戦後、満州やチベットに侵攻しその地の民族の言語と文化を破壊し、若い女性を強制移住させて民族浄化し、ジョージ・オーウエルの描く「1948年」社会体制を構築中だ。

残念ながら、デジタルサミットのフォーラムで発言した日本政府関係者にはこうした危機感は、当日の発言を聞く限り、薄かった様に見える。「日本だって世界中の建設機械の稼働に関するデータは日本に集めてる」からお互い様だという趣旨の発言だったが、何千万という国民の日々の通信、会話、売買などの情報と例えば建設機械の摩耗データを同列に扱うのは間違いだ。某国が自国にある日本人のメッセージングサービスの利用履歴やコンテンツの視聴履歴や書籍の購入履歴を基に個人の思想や趣味嗜好を抽出し、使えそうな個人を特定し、それを工作員に育て上げることも可能だからだ。

日本政府はその様な脅威から自国民を護らなければならない。何故なら、電子機器が社会のインフラの隅々にまで浸透した現代では、「銃やミサイルなどの火器による戦闘行為」はその戦争の最終形態であり、その前の経済制裁やサイバー攻撃や情報漏洩などの血を流さない戦争が日常になっているからだ。北朝鮮や中国から米国に対するサーバー攻撃は日常に起きているし、日本もその対象外ではない。米国やEUの様な国々とはこの様な国家安全保障の仕組みを議論し調整して一定ルールに収束させることも可能だろう。だが、西側に明らかに敵対している北朝鮮や中国とはどの様な対抗措置が可能だろうか?

日本にはインターネット情報産業のビジネスモデルがいくつもあったし、今もある。楽天やニコニコ動画等だ。だがその多くが米国が敷いた地地球規模という点で米国企業に負けている。日本の政策担当者は米国のinitiativeに無批判に従っているだけかも知れない。日本は日本の国家安全保障という観点からインターネットによる情報産業の構造を再設計し育成する必要がありはしないか?

(資料; http://www.digital-summit.jp/2018/streaming.html )

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