FC2ブログ

KenConsulting Blog

KenConsultingの本多謙が政治/経済記事を独自の視点で評論します

NHKスペシャル「混迷のアメリカ」を評す

2020年6月13日、NHK総合テレビは午後9時からNHKスペシャル番組を放送した。題名は「混迷のアメリカ~コロナ時代 世界で何が起きているのか~」だ。この番組の構成は①黒人男性G.Floydが白人の警察官に押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、②大規模な抗議行動が全米に広がり更に世界に拡大している様子を伝え、③それに対するトランプ大統領の力で抑え込む対応が政権内に亀裂を生み、④彼が対抗馬のバイデン氏より劣勢であることを示し、⑤この争乱の歴史的な意味と今後の展開を問いかけた、となっている。

視聴者はこの番組を見終わった後、今後世界はどうなるのか不安になったはずだ。この不安を解消するにはこの番組でいったい何が伝えられなかったかを明らかにする必要がある。なぜならそこにこそ番組制作者の意図があるからだ。

先ず、事件の発端となったG.Floydとはどんな男か?番組では彼は偽札を使おうとしたとしか言っていない。実は彼は押込み強盗、麻薬などで逮捕状が何枚も出ている札付きの犯罪者なのだ。今回は偽札を使い拳銃を振り回しているという通報で駆け付けた警官に拘束されたのだが、実は刑務所を出所した直ぐ後だったのだ。警官はこの大男が逮捕状がいくつもある危険な犯罪者であることが分かったので彼の首根っこを地面に押さえ付けて拘束したという次第だ。相手は銃を持っていたのだから、警官たちは下手をすれば拳銃を奪取されて犯人に打ち殺されるかも知れなかったのだ。事実、アメリカで犯人に打ち殺される警官の悲劇は多い。彼らは命がけなのだ。だから警官がG.Floydを押さえつけたのは納得できる。米国市民はそうした状況を理解した。だからこの事件に関与し逮捕された警官の保釈金として1億円以上の支援金が集まったのだ。NHKはこの背景を伝えなかった。却って、米国の警官は乱暴だというイメージを広める結果となった。

G.Floydは死んで英雄扱いをされ、黒人差別反対デモがアッという間に全米に広まった。彼の親族はデモを控える様主張したがそれは無視され、各地で暴動、略奪、放火が起り警備に当った警官が撃たれて死んだ。そもそもG.Floydは頸部の圧迫が死因ではないという診断がある。彼は麻薬中毒患者であり、新型コロナウイルスの患者でもあった。だがこの殺された黒人の抗議のデモはあっという間に全米に広まった。実にタイミングが良かった。誰かが準備していたみたいだった。番組では、このデモは黒人が主で白人の賛同も多く平和なデモだったが警官たちがそれを暴力で排除したと報じたが、それは事実の一部でしかない。黒人たちのデモは主にBlack lives matter(黒人の命が大事)という数年間活動を続けてきた団体によるものだったが、ANTIFAという国際極左暴力テロ組織も参加していた。実はANTIFAはBlack lives matterを乗っ取ったのだ。ANTIFAは当然銃などを使った。デモ隊の進路の近くに煉瓦、瓶、火力促進剤などを誰かが用意しておいてANITIFAらがそれを使って商店に押入って商品を盗み、破壊し、放火したという報せもある。どこかの団体が暗号を使って交信しデモ隊の暴力行為を計画していたという記録もある。実はテロの現場のビデオで、若いアジア系の男たちが中国語で「走,快走,走走走 (行くぞ!早く!行くぞ行くぞ!)」と言って居るのや、中国大使館員らしい者の群衆扇動についての会話がTwitterに残っている。この一連の騒動は中国共産党がシナリオを書き下部組織を使って実行したと見る者もいる。実はANTIFAは中国共産党の下部組織なのだ。ANTIFAはデモを起こし、人垣を作ってそれを楯にし、自分達の思うように群衆を誘導せよと教えられている。であればこのG.Floydの死に始まった騒動が一気に世界中に広まった理由も理解できる。
米国争乱


放送ではデモ隊が警察権力の制限を訴えていると伝えたが、警察力が弱体化すればANTIFAの活動即ち中国の工作はやり易くなる。事実、ANTIFAらはワシントン州シアトル市内の一区画を占拠して無政府状態にした。民主党の市長がそれを容認している。シアトルの警察署長は「この地域でレイプ、窃盗、全ての種類の暴力行為が起きているが、私たちは中に入ることができない」と嘆いた。NHKはこんな重要な事実も放送しなかった。

放送ではトランプの支持率がバイデンのよりずっと下のまま推移しているのを示し、その理由としてトランプの暴力的な対応が原因だと言った。だが、バイデンが中国の利権にどっぷり漬かり、中国から支援を受けていることには触れていない。放送のなかでF.フクヤマが、今回の黒人解放運動は歴史の転換点になるかも、とコメントしている。放送の文脈からすれば11月の選挙にはバイデンに投票しなければということになる。これはバイデンへの誘導ではないのか?

また、米国の警官が暴力でデモ隊を蹴散らす様子を放送した。これで警察=悪という印象が定着するだろう。しかし、放送は中国が同時期に香港の若者達や子供達に男女を問わず行っている何倍も酷い暴力や拘束などには触れていない。

これらNHKが放送で取り上げなかった事実はインターネットでちょっと調べればすぐ分かることだ。だが「NHKスペシャル」はトランプが米国を混乱させ分裂させている印象を与え、視聴者に不安を残しただけだった。しかもこの放送の翌日には渋谷で黒人差別反対デモがあるのだ。

筆者は、この一連の騒動の裏には中国共産党の戦略が隠されていると見る。その戦略とはどういうものか?中国共産党の立場に立つと多くの事件が整然と説明できる。その仮説をお話ししたい。

中国共産党の最終目標は中国共産党が世界の覇権を握ることだ。その為に中国共産党は毛沢東が1949年に建国宣言をして以来周辺国を併呑し、その地の住民を奴隷にして来た。満州、モンゴル、チベット、ウイグルなどだ。インドやベトナムにも侵攻し、南沙諸島を領土にして来た。国際連合やWHOなどの国際機関を恣意的に動かせる体制を作ってきた。欧州諸国やアジア・アフリカの弱小国も、そして日本もその対象になっている。

問題は米国だ。米国主導の米中貿易戦争で中国が生き残るには、中国は米国を攻略しなければならない。これができれば中国の世界征服は完成し、世界中の人々の生殺与奪を今の中国人民と同様に欲しいままにできる。そこで中国共産党は民主党政権時代に米国の政治家を取り込み、中国に有利な様に働かせて来た。これは一応成功したが、トランプが大統領になり反中国の政策をとったので2020年11月の大統領選挙でトランプを落選させる為の戦略を実施している。

この戦略の基本は、米国との交渉を出来るだけ長引かせ、超限戦を戦うことだ。超限戦は戦闘以外の手段、即ち外交、テロ、マスコミ、法律、企業活動などを通して戦う戦争だ。大きな目標は米国の攻略と香港の自国領化だ。中国は先ず武漢に疫学研究所を作り、そこでウイルス兵器を作り、それを2020年の春節前に湖北省で流行らせた。武漢は交通の要衝であり、春節には中国人が国内国外を大量に移動するのでウイルス兵器の拡散にはベスト・タイミングだからだ。中国共産党にとって10億の農村戸籍の人民は奴隷だからウイルスに感染して死んでも構わないのだ。中国はウイルス情報を秘匿し公表を遅らせ、ウイルスによる被害が世界に拡大する様にした。WHOは買収してあり、ウイルス拡散に協力させた。パンデミック発生前に世界の華人ネットワークを使ってマスクや防護服などの防疫用品を世界中から買い集め、世界がパンデミックに対応でき難い様にし、パンデミック発生後はそれらを高値で売って儲けた。欧州と米国の要人に感染した中国人を接触させ、欧米の政治の指導力を麻痺させようとした。習近平の国賓としての日本訪問もその一部だ。

武漢ウイルスは米国にも蔓延し米国民は長期間家に閉じ込められ、多くが死に、職を失い、不平不満が溜まった。それを一気に爆発させるのに最適なタイミングでG.Floydの死亡を利用した。彼を英雄的犠牲者に祭り上げ、黒人の人権問題という大義名分を使ってBlack life mattersらに争乱を起こさせた。これには中国共産党の下部組織にしておいたANTIFAも利用した。デモではBlack life mattersの黒人や白人たちを使い、それを人垣にしてANTIFAに暴力デモとテロをやらせ、武器と活動資金を与え、破壊活動を指揮した。指揮には中国に留学して米国に帰り地下工作員なった黒人や中国大使館系の工作員を使った。

中国は世界のマスコミを使って①小規模な争乱でも過大に放送させて全米に重大な争乱が起っていると思わせ、ナイーブな白人に贖罪意識を持たせ、社会の変革が不可避だと思う様に仕向け、②暴力で国民を圧迫する低支持率のトランプ対穏健で高支持率なバイデンという図式を視聴者に印象付け、③トランプでは米国を救えず、バイデンが次期大統領として相応しいイメージを植付け、④香港の警官が市民に行っている暴力から目を逸らさせようとしている。

さて、NHKは米国の混迷の裏側を知らないでこの番組を作ったのでしょうか?皆さまはどうお考えになるでしょうか?



参考;
NHKスペシャル 混迷するアメリカ
https://www.youtube.com/watch?v=HGb2yIXkym4
https://www.youtube.com/watch?v=edHDE-KDDiU
https://www.youtube.com/watch?v=mbcIoVei0l4

スポンサーサイト



PageTop

米の変質、金権政治の果て

リベラルがなぜトランプ氏を罵るのか

Martin Wolf

「米の変質、金権政治の果て」という題のコラムが2018年7月19日の日経新聞に載っている。コラム子はFINANCIAL TIMESのチーフ・エコノミクス・コメンテーター マーティン・ウルフ氏だ。ウルフ氏はこれまでもリベラルの立場からトランプ大統領を口を極めて罵っている。トランプのせいで、かつて光り輝いていたアメリカは失われ、それはもう戻らない、という様に、だ。

日本のマスコミのトランプ大統領に対する論調は米国のリベラルなマスコミのコピーに近い。日経新聞がウルフ氏のコラムを掲載していることからもそれが分かる。しかし日本人にとってアメリカは自分の好きな様に日本を振り回そうとする侵入者でしかないし、トランプ大統領は日本に対して強権的な中国を抑え込もうとしてくれているので有難い存在なのであって、ウルフ氏の見方とは相容れない。リベラルがなぜトランプ氏を罵るのかを考えてみたい。

ウルフ氏の父親は米国が「世界の人にとって自由と繁栄を保証してくれる存在」と確信し、「第2次大戦前にオーストリアから難民として英国に渡」り、ウルフ氏も「その傾向を受け継いだ。」 欧州で窮乏している一般市民にとって、アメリカにさえ行けば自由で豊かな生活ができる夢の国だった。この感覚は日本人には解りにくいだろうが、「アメリカ・アメリカ」という映画を観ればそれが良くわかる。この映画は「エデンの東」のエリア・カザンが脚本化、製作・演出し1964年に公開された。映画は1896年、トルコで弾圧されているギリシャ人の貧しい青年が自由で豊かなアメリカの話しを聞き、アメリカに移住する決心をし、詐欺や重労働に耐えたあげく、何人かの好意に助けられてアメリカの街で靴磨きをするまでを描いている。見終わって深く考えさせる映画だ。ウルフ氏の父親がこの映画の主人公に近かっただろうことは推察できる。

ウルフ氏は「米国は民主主義のとりで」として「欧州がドイツのナチスや共産主義の独裁の手に落ちるのを救った」し、「戦後の米国の政策には4つの魅力があった。人々を引きつけるような価値観を中心に据え、その価値観を共有する同盟国に忠実で、競争に対し開かれた市場を信じ、様々なルールを制度化して市場を支えた。」と米国が築き上げてきた世界の秩序を誇っている。

それなのに、「民主主義、自由、法の支配といった米国の中核をなす価値観を敵視」するトランプ大統領が誕生したのは「米国が乗り越えられないかもしれない政治的な失敗にある」という。その“失敗”とは何か?それは共和党による「富裕層のための金権政治とポピュリズム」、「貪欲と不満につけ込む政治」であり、「富裕層が組織立った形で、利益の飽くなき追求を続けてきた」結果であり、「低所得層を文化や人種によって分断し、選挙区割りを共和党に都合よくどんどん進め、有権者による投票を難しく」したせいだとウルフ氏は言う。従って、トランプ大統領は自分を指示した貧乏な白人たちの期待には応えられないだろうとも言う。

だが、本当にそうなのか。米国は「民主主義、自由、法の支配」の宣教師として日本を含むアジア、中東の多くの国々と戦争した。米国は中東で日本の様に成功しようとしてバグダッドに侵攻した。だが、その後中東が日本の様に変化しないことを体験し、少しずつ自分の理想主義の失敗に気が付いた。米国は日本でしかこの宣教の戦いに成功しなかったと言える。だが、日本にしても「民主主義、自由、法の支配」は1000年以上前から在ったものだから、米国は日本でもこの宣教の戦いに失敗したと言って良い。つまり、米国の理想主義は世界で失敗したのだ。米国はベトナムでも失敗した。これはウルフ氏のようなリベラルにとって重大事件だ。「人々を引きつけるような価値観を中心に据え」それを世界に広める活動の正当性が成立しなくなったのだから。

そして米国がこの理想主義の戦いに邁進している間に米国の資本主義の精神は少しずつ変質し堕落して行った。金持ちは庶民からより多くの金を吸い取ってますます金持ちになり、社会を維持する基盤となる中間所得層が消滅し、多数の窮乏した貧乏人が残り、自殺者と犯罪が増えた。そして米国は世界の警察官を続ける余裕を失っていった。この傾向は民主党政権の間も進んでいたのだから、トランプを非難するのは当たらない。

トランプ氏は米国の窮乏した白人層の指示を受けて大統領に当選し、今のところ公約の実現に成功している。GDP成長率は4%を超え、失業率は2000年以来の最低水準(4.1%)に下がり、米国の雇用を奪った中国と貿易戦争に勝利して雇用を米国に戻そうとしている。もしこの傾向が続けばトランプ大統領は米国を再生した大統領として歴史に名を残すだろうし、ウルフ氏は恥ずかしい思いをするだろう。この場合、日本は米国と歩調を合わせていれば良い。もしこの傾向が進んだ場合、ウルフ氏が指摘した米国社会の所得の一極集中と社会の荒廃が更に進むことになる。

この問題を米国は解決できるだろうか。この問題をもって資本主義の終焉と言う者もいるくらいだ。ウルフ氏は「我々はかつての米国を取り戻すことができるだろうか。それは普通の人々のニーズや不安に応えるのに、もっと政治的に優れた方法を見いだすまでは難しいだろう。」とコラムを締め括っている。彼が控えめに望んでいる「もっと政治的に優れた方法」は社会主義を指すのだろう。ウルフ氏には世界で最も成功した社会主義国(ゴルバチョフ)日本を見よ、と言いたい。日本こそ米国が目指すべき社会モデルなのだ。


資料;https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33103690Y8A710C1TCR000/  
https://movie.walkerplus.com/mv455/

PageTop

米民主、台頭する新世代

世界で最も成功した社会主義国「日本」を視よ!

「米民主、台頭する新世代」と題するコラムが日経新聞2018年8月5日のFINANCIAL TIMES欄で紹介されている。著者はグローバル・ビジネス・コラムニスト ラナ・フォルーハー氏だ。副題が「『労働者』重視、経済界は注目を」で、コラム子はこれを民主党の原点回帰と呼び、それを求めている。これはクリントン+オバマ時代の民主党の主張とは確かに違う。この変化の例として「民主社会主義者」と呼ばれるオカシオコルテス氏(28歳)が6月の民主党予備選挙でペロシ院内総務を継ぐ立場にいる対抗馬を破ったことを挙げている。コルテス氏は「政治に今ほどお金が流れ込んでいることが、私たちの社会が崩壊するかどうかの危機をまねいている」と考えている。彼女は「私たちの問題は右派か左派ではない。最富裕層と貧困層の問題だ」、「民主党は、働く人々のために大望を掲げることもなく、力を尽くして戦ってもこなかった」、「この結果、その怒りが大統領選で共和党(トランプ氏)に投票する流れをつくってしまった」と述べている。

この様な主張の背景は「ゴールドマンの資本主義」と題するゴールドマン・サックスの最高経営責任者ロイド・ブランクファイン氏の退任に関する記事(日経新聞2018年8月3日のDeep Insight欄、日経新聞コメンテーターの梶原誠氏による)を読むと良くわかる。梶原氏はブランクファイン氏の「12年間はこう総括できる。金融が幅をきかせるようになった米国型の資本主義が、社会の反撃を受けて持続不能になった時代だと。」

コラム子はこうした民主社会主義者に対する不安を企業側が抱くだろうことを見越し、彼らは安全だと述べている。即ち「彼らは、米国民を消費者として見るのではなく一般市民として気に掛け、全国民に医療保険と教育と生活可能な所得を保証する国を目指す民主党に立ち戻ることを求めている。これは左派にさえ過激に思えるが、それは米国だからだ。欧州ならオカシオコルテス氏は、多くの人が市民の基本的権利と考えることを要求する、どこにでもいる社会民主主義者にすぎない。」と述べている。彼女は彼らの主張が米国の医療保険や教育システムの質を高め、米国の国力増進に有効だとも述べている。

むしろ筆者はこのコラム子に、ゴルバチョフが「世界で最も成功した社会主義国」と評した日本を米国の経済界は見本にすべきだ、と米国の経済界に主張することを薦めたい。国民皆保険も高度な教育システムも、平等で安全な社会も、日本がとっくに実現しているものだからだ。

それにしても「米国で今、創出される雇用の約65%は高卒より上の学位が必要だ。だが、米国の学生でそれだけの資格を得る者は半分しかいない。」というのは驚きだ。知的で豊かな米国市民の影は既に無い。これではトランプが移民を制限し海外に流出した工場を本国に戻してもまともな製造ができる者を育てるのに何年もかかるではないか。だが、米国の知的資産を狡猾に利用して米国を凌駕しようとする中国を今の内に潰しておかなければ米国の覇権が危ないとする考えはトランプだけでなく米国議会全体のものになっている。

思うに、米国の社会システムは優れた労働力を奴隷で賄うという古代ローマ帝国のものを現代風に焼き直したものだ。頭脳優秀な者を世界中からの移民でまかなえば良いという考え方は、かって筆者が勤務した米国AT&Tに並ぶNortel Networks社でも見られた。Bell Northern Researchやマーケティング部門では中国や中東やインド等からの頭脳明晰な移民が活躍していた。この古代ギリシャ・ローマ時代以来のグローバリズムを否定してナショナリズムに基づく国家の繁栄モデルに不安を覚えるなら、その答えは既に日本にある。

資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180802&ng=DGKKZO33667380R00C18A8TCR000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180803&ng=DGKKZO33726800S8A800C1TCR000

PageTop

トランプ氏、貿易戦争招く

日本は状況を冷静に分析し、有利に立ち回る

「トランプ氏、貿易戦争招く」というコラムが日経新聞2018年7月12日のFINANCIAL TIMES欄に載った。著者は同欄でおなじみのFinancial Times Chief Economic Commentatorの英国人 Martin Wolf氏だ。Wolf氏のヒステリックな反トランプぶりにはそろそろ慣れが来ていて、一流経済紙に載るコメントテータなんてこんな程度なのかという思いがしてくる。また、かなり中国に洗脳されているなというのが文章の端々から感じられる。このコラムはこんな視線で読むと楽しめる。

先ず「今、世界一の大国を率いているのは危険な無学者だ。」とトランプをこき下ろしている。トランプは欧州流の洗練された身のこなしや英国流の皮肉やオバマの様な学歴は無いが、実業の世界で勝ち抜いてきた知恵者であり、アメリカ人のカウボーイ好みに合ったイケメンなのだ。それに有能なシンクタンクが支援している。「トランプ氏やトランプ政権が何を望んでいるのか誰にも分からないため、交渉するのが極めて難しい。」というのも間違い。トランプは大統領選挙の公約を粛々と実行しているだけだ。さすがに、ワシントンは敵ばかりなので順調な人事ばかりとは言えないし、余計なスパイを大統領府に入れる愚は避けたいだろう。

コラム子はトランプが貿易戦争を招くことを恐れ、非難し、戦争の帰趨に対して悲観的であり、その論旨は中国を代弁しているのではないかと思わせる。そもそも、トランプが中国に貿易戦争を仕掛けたのは中国を今のうちに叩いて中国を米国に替わる世界の覇権国ではなく、米国の大人しい市場にしようとしたからだ。

米国はニクソン以来そのつもりで中国に技術と資本を与えたが、習近平の中国はAIIBや一帯一路で米国を凌ぐ世界の覇権国になろうとする姿勢を露わにした。一方民主党政権は米国を売って私腹を肥やした。米国の指導者たちは、これは失敗したと思ってトランプにその是正を期待しているだけなのだ。勿論、米国との貿易戦争は中国にとって不利であり、勝ち目が無く、中国は条件闘争にせざるを得ないのだが、その為には国際世論を味方につけなければならない。そこでウルフ氏のような著名なコメンテータが一流経済新聞の紙面をにぎわすことになるのだろう。

コラム子は言う。「米政権が貿易に関して発動した措置や発表内容は」「トランプ政権がいかに無能かをさらけ出してもいる。」なぜなら追加関税の対象は「米国の年間輸入総額の約3分の1に相当する。そのため米国の動きは早くも報復の応酬を招きつつある」のであり、これはWTOルール違反であり、「中国に貿易赤字削減を求めるのはばかげているし、次の産業育成策阻止は交渉できる類いのものではない。最後の強制的技術移転阻止は道理にかなった要求だが、達成は難しい。」と中国を擁護している。中国が薄利の加工&組立てビジネスから利幅の大きいハイテクビジネスに移行しようとしているのは明白だし、その政策が実現すれば米国は防衛産業での主導権を失い、世界に展開している米国軍の価値は激減し、中国と戦争すれば敗退を重ねることになるだろう。そうなった場合英国も米国も日本もチベットの様になってしまうのだが、コラム子はそれを容認するのだろうか?チベットでは絶望した仏僧たちが焼身自殺を続けているというのに。

コラム子は「トランプ氏が実際にしているのは、2歳児のように明確な目的もないまま既存の仕組みを壊しているだけだ。中国と関係を修正したければ、(中略)各国と力強く連携し、中国に立ち向かったはずだ。」とトランプを非難しているが、米国が構築した世界貿易の「既存の仕組み」をもっとも 狡猾に利用して米国を恫喝し始めたのは中国であり、その他の「各国」は程度の差こそあれ中国と同様狡猾に米国を利用して来たのだ。だから、「各国と力強く連携」するなんて無意味だし、トランプが「明確な目的もないまま既存の仕組みを壊して」いると言うのは間違いだ。それは米国の想定内なのだと理解すべきだろう。

コラム子の、中国が保護主義により米国市場から「締め出されると、その輸出先が他国へと移っていくからだ。例えば中国から米国に輸出されていたモノが欧州連合(EU)市場に出回るようになると、今度はEUが自国製品を輸入品から守る必要を感じるようになるかもしれない。」との懸念は、彼が中国の立場に立っているなら全く納得できる。中国の製品が世界から締め出されるからだ。それは米国が狙っていたことではないのか?

中国が生き延びる道はかって日本の自動車メーカが米国でしたように自国の工場を米国に移し、米国人を雇って米国のGNPを増やすことだろう。だが、それが出来る企業が中国にどれ程あるのか?例えばアップルは中国の工場を閉鎖して米国に工場を移せばよく、中国はそれに対して儚い抵抗をするしかないだろう。ZTEは米国や日本から部品を買って組立てているだけだ。

コラム子はトランプへの対応として「報復だけがトランプ氏の路線を変えることができるかもしれない。」と言い、「筆者なら報復する。それは報復に効果があるからではなく、報復しないと弱く見えてしまうからだ。」と述べている。これは米国に対する中国のリアクションそのものだ。コラム子の頭はかなり中国化されている様に見える。

コラム子は「高所得国が打てる最も大胆な策は」「トランプ氏が提案する関税ゼロの貿易をすることだ。」「そんな世界もあるのかもしれない。」と述べている。コラム子がどの国をこの「高所得国」として想定しているのかは分からないが、日本がそれに当たることは間違い無い。日本は既にTPPを発足させ、EUとの関税撤廃の条約も締結した。コラム子は「そんな世界もあるのかもしれない。」と言うが日本は既にそんな国になっているのだ。

だが、日本は米国と対立している訳ではない。米国が「中国の対米貿易黒字の削減」、「中国のハイテク産業育成策『中国製造2025』の阻止、「強制的な技術移転の阻止」を達成すればそれは日本の利益にもなる。従来通り米国の良きパートナーとしての立場を堅持していれば良い。

更に、蒋介石夫人やノーベル賞作家パール・バック以来米国には中国に対する美しい幻想が定着している様だ。日本も古代中国に対して似たようなものだが、中世以来の中国人像のおぞましさについて日本人はより深く認識しそれを世界に広めなければなるまい。


資料;https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180712&ng=DGKKZO32866400R10C18A7TCR000 

PageTop

欧州分断するポピュリズム

ポピュリズム非難と民主主義擁護の矛盾

「欧州分断するポピュリズム」と題するコラムを日経新聞の上級論説委員が2018年5月31日の中外時評欄に載せている。内容は欧米のリベラルな論調を後追いしたもので、欧州でポピュリズム政権が拡大していることを憂いているものだ。即ち、ポピュリズム政権が「司法やメディアを抑えつけ、EUの決めた難民の受け入れ枠は拒否した。掲げるのは、法の支配や寛容さを重んじるEUのリベラルな価値観と一線を画す『非リベラルな民主主義』だ。」とリベラルの退潮を嘆き、「英国がEUを去ったあとも、ドイツとフランスがリベラルなEUの価値を守り、ポピュリズムの拡大やユーロ危機の再発を防ぐ、(中略)こんな期待にも、再び赤信号がともり始めたようだ。」とコラムを閉じている。

このコラム子が欧州発のリベラリズムを擁護しようとしているのならその論調に含まれている矛盾に気付かなくてはならない。英国人が「どうしてEUから脱退するのか?」と日本人に問われたとき「日本の国内政策が大陸の上海(だったかな?)で決定されたら嫌だろ?英国人はブリュッセルの官僚に自国のことを勝手に決定されるのは嫌なんだよ。」と答えたという話を聞いた時、なる程と納得した。

要するに、リベラリズムはグローバリズムと一体で、その思想をEUは実現しているのだが、それはブリュッセルの官僚たちが28加盟国のほとんどを決定し運営するシステムなのだ。この体制はソビエトを中心とする共産主義と相似形になっている、と言われたら驚くだろうが、事実だ。このシステムは加盟各国の主権を制限するから、その制限を正当化し国民を納得させる為にメディアが使われる。つまり、メディアの仕事は加盟国の国民を騙してブリュッセルのリベラリスト達の意向に納得し自分の不利益を受け入れるようにすることなのだ。移民の割り当てなど正にそうだ。各国の国民は選挙でその不利益を拒否しているのだが、リベラリスト達はそれをポピュリズムと言って非難し、民主主義の危機だと言って嘆く。これって矛盾しないか?この矛盾に気が付いたら、このコラム子は欧州のリベラリズムを英国人の様に避難するはずだ。だが、メディア側のコラム子はリベラリストに奉仕することを当然としているのかも知れない。

このコラム子は優等生の匂いがする。優等生は教えられた「正しい」ことを全て頭の中に記憶し、それを自分の知識として整理し組み替えて書いたり話したりする。自分の価値観を基に情報を篩(ふるい)にかけることはしない。このコラムがそうだ。メディアとしてリベラルな立場を当然とし、それを前提とし、その矛盾を無視して論陣を張っている様に見える。あるいは、欧米のリベラルの論調に追随していれば格好が付くというだけなのかも知れない。

欧米の正統派メディアも同様だ。彼らは正当な民主主義の手続きを経て成立したトランプ政権を貶め、なんとかして 引き摺り降ろそうとしているが圧倒的な人気のトランプに対して劣勢だ。日本のマスコミも安倍政権に対して同様だ。このコラム子の様な優等生には一度、何が自分と自分の家族と自分が属するコミュニティーにとって重要かを考えて頂きたいと思う。例えば「あなたは日本の税金の問題を上海の中国人に決めてもらいたいですか?」だ。筆者なら当然NO!だ。


資料;https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31155280Q8A530C1TCR000/  

PageTop